暗殺者執事 〔 Ｈ×Ｈ 〕

暗殺者執事の苦悩 ページ2

実はこの修行の話が決定した時

ミルキはまんざら悪い気ではなかった。


それはAがお目当てだったから。

暗殺者をどうするかの時にAを推薦したのはミルキ自身。


何とも単純な理由。

０時にその日の修行の褒美として

何かひとつAに命令を下せる。

命に別状がない命令に制限はない。


それゆえ自身の趣味が爆発する訳だが

例えば昨夜０時にした命令とは……





明日一日下着無しな





これが昨夜ミルキからAへ下された命令。

ギャルゲーや恋愛シュミレーションゲー好きミルキらしい命令だ。





「今日お前動きが鈍いんじゃねーの？」


『クソが…!! マジでそろそろ死ね!!!』


「顔赤くなってやんの、何か問題でもあんのか？」


『黙れ―――!!!』





何故Aが採用されたか？

それは「家族内殺し合いの禁止」のせいだ。


昔から栄える一族は家族内乱で崩壊する事が多い。

自らこそ王に、と身内殺しをさせない絶対ルール。


かといって本物の暗殺者を雇うのは危険。

ゾルディックの情報漏洩する可能性があるし

本当にミルキが殺されてはならないからだ。


愛ある修行とはいえ油断は禁物。

どのような手段も武器の使用もAは許可されている。

だが誰かの手を借りてはいけないというルールも存在する。






「今日も…楽勝…何命令するか…考えておくか…ｺﾌｰ…」


『その息!! 切れっ切れな癖に!! 成仏しろや――!!!』


「死んでねーし!! その口答えどうにかしろよな!!!」


『ハッ!! もうすぐ死ぬ人間に何言われても効かないし!!』


「あ"んだとー！？ ｺﾌｰ!!!」


『何よ!!!』





ゾルディック一族に仕える執事達の中に

家主達に逆らい暴言を吐く者はいない。


絶対服従。

一流の教育とそれぞれ暗殺技術を持ち

家主の為なら命すら捨てて彼らを護る

…筈なのだがAは全く逆の立場。


ミルキの体も心も鍛える為に雇われている。

暴言を吐き、本気で殺しに掛かるのが任務。

彼女の為の職だなと誰もが思ったのは言うまでもない。



「お嬢ちゃんの体術も上がってきたのぅ」


「うむ、一般人にしてはなかなかだ。 俺や親父が稽古つけたらミルは危ないな」


「ミルキにもAちゃんにもメリットしかないわねぇ。 ね、カルトちゃん？」


「はい、お母様。 (下着無しとかA姉様可愛そうだけど…ブタ君ナイス)」





一般人とは少々感覚のズレがある。

ゾルディック家だから、それだけで済む話なのが恐ろしい。


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