呪いの恋歌 〔 Ｈ×Ｈ 〕

ＶＩＰルームへ ページ17

『あっ、あそこですよ』



綺麗な石畳にお洒落な店が並ぶ中、Aはイルミ指定場所の店を見つけ喜ぶ。

ヒソカは辺りを警戒して見渡すが異変はなくAに手を引かれるがまま歩く。



「時間ギリギリ、急げば１個くらい食べられるよ」


『味わいたいですし、食べながらじゃヒソカさんの相手に失礼ですよ。 用事終わったらにします』


「ごめんよ」



笑顔だけで返事をするAにヒソカも優しい笑顔を返す。

ああ、本当にいい子だと思えばヒソカにはAが他の人間より一回りも輝いて見える。



「店、随分混んでるケド…」


『ですね…席空いてますかね…』



店に入れば愛想の良い店員がすぐ二人に「いらっしゃいませ」と声を掛けてきた。



「三人、席はあるかい？」


「申し訳ございません…本日はご予約で一杯でして…お持ち帰りならご用意出来ます」



再び頭を下げる店員の後ろから駆け寄ってくるスーツをびしっと着こなした男。



「こちらの店員が失礼をしました。 ヒソカ様とお連れ様ですね、こちらへ…」



え？え？と首を傾げるのはヒソカもAも店員も同じだった。

オーナーだろうか、２Ｆに上がりＶＩＰ個室へ案内されればイルミが待っていた。





「や」


「…君ねぇ…一般人が苦労して予約してるの分かってるのかい？」


「無駄な時間は俺に必要ない、ならヒソカだけ並んで店に入ってきなよ、ヒソカだけね」



辛口な人かもと思いつつヒソカをたじたじにさせるイルミにAは急いで挨拶する。



『は、初めまして！ ヒソカさんとご一緒に招待頂いて来ましたAです』


「うん、知ってる。 俺はイルミ、よろしく。 君はそこに座って」



Aだけ席に招くイルミ、ヒソカは呼ばれていないが勝手にAの横の席に着く。



「他人の苦労がどうのこうの言う癖にヒソカ座っちゃうんだ」


「ボクに用があって呼んだの君じゃないか」


「んー…ま、いいや、ねえAは何飲む？」



イルミがヒソカの質問を無視して早速呼び捨てでAに飲み物を聞くイルミ。

サッと店員がメニューを開く。



『えっと…』


「オレンジペコだろ？」


『…はい！ ここはレアチーズの酸味とオレンジペコの甘味の組み合わせが最高だと聞いて…！』



目を輝かせ最高のチョイスをしたイルミを尊敬の眼差しで見るA。

使用状況だけではなく音声もジャックされていたヒソカのスマホ。





早く帰りたいと白目を剥くヒソカに大きな隙が生まれていた。


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