死んでもいい 2 pdl 荒北 ページ8
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「みいんなーーーー!連れてきたよーーー!」
と、葦木場と泉田が先輩方をつれ、いや担いできた。
米俵を四個担いでるように見えるのは私だけではないはずだ。
ドサリと四人をおろした二人は私たちと共に、クラッカーを構える。
「せーのっ!」
『卒業おめでとうございます!先輩愛してます!』
パーーン!とあたりにクラッカーの音が響く。
クラッカーの音と一緒にアブゥウウウウウ!と聞こえたのはご愛嬌だ。
「これ、プレゼントです。」と葦木場が新開さんに包みを渡す。
それを皮切りに私以外の二年生がプレゼントを渡し始めた。
ただひとりを除いて。
「黒田?どしたん?」
「・・・・お前、やれよ。」
と黒田は私にあの人に渡すためのプレセントを私に押し付けてきた。
察しがいいってこういうとき困る。だって私は瞬時にこいつには私の気持ちがバレていたことを悟ってしまったのだから。
誰にもバレないように隠してきたつもりだったが、こいつにはダメだったか。
「・・・・ありがと。」
俯きながら小さな声で呟いた。
「荒北さーーん!これ、どうぞ!一二年からの気持ちでっす!」
「お、A、あんがとヨ。」
少し笑いながら、いつもより素直に荒北さんが受け取ってくれた。
少し泣きたくなった。
「最後にこんなことまでしてくれて本当に感謝している。」
「おめさんたちとの走り、最高だった。」
「さすがの山神も驚いたぞ!ワッハッハ!」
「まー、そのなんつーか、あんがとヨ。」
それぞれが思い思いの言葉を残していく。
一年はもう涙目だったが、二年はそんな素振りはない。やはり男だからか、泣くのには少々大きくなりすぎたらしい。
四人は校門へ歩きだした。
手をふって彼らを見送る。もう誰も振り向かなかったけど、ずっと手を振っていた。
小さくなっていく背中に、細くて華奢で、たくましいその背中をみていると、自分の胸の中のなにかがせりあがる。
でもせり上がったなにかを喉から、出しはしなかった。
やがて彼らの姿が見えなくなると、隣で手を振っていた黒田が膝から崩れ落ちた。
うつむいた彼の視線の先にあるコンクリートに染みができる。
泣いていた。回りの皆が。
うずくまって泣く彼の背中にぎこちなく慎重に手を置く。なんせこんな風に男子にさわるのは小学校以来だったからだ。
回りで慟哭している彼らに影響されたのか、今更になって私は
なんで一年遅く生まれたんだろう、と呟いてしまった。
涙はもう流せなかった。
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ルイ - リク失礼します、ゴンの受験応援メッセージ的なものが欲しいです、お願いします (2018年1月9日 14時) (レス) id: 26c2f66c06 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - みんくるさん» ピトーは女設定で主人公は人間でお願いします (2017年7月8日 8時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
みんくる(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» ネフェルピトーの性別についてはどう解釈しておられますか??加えて主人公はどんな子がよろしいですか?ほかにもなにかご要望ありましたら、教えてくださーい!(^◇^) (2017年7月4日 17時) (レス) id: e14791fad0 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - リクでネフェルピトーに溺愛されたいです (2017年6月30日 16時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
みんくる(プロフ) - ノリコさん» ありがとうございます〜返信が遅れて申し訳ありません。今週中にあげます! (2017年3月29日 1時) (レス) id: 16f7f3249f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みんくる | 作者ホームページ:http://nanos.jp/connector/
作成日時:2014年8月8日 0時