第三十五話 side.Tw ページ37
「…」
「FB、どうだ?」
「全然分かんない、足音が多すぎて聞き分けられないし、Aの声もしない」
「でも聞こえたんだろ?あっちの方角から」
FB達の言う「あっちの方角」へ、淡々と足を進める
丸一日、俺達は寝ていない
寝ていないというより、寝れない。
あんなものを見てからぐっすりと眠れる訳もなく、寝袋に入る気すら起きなかった
それは皆も同じだったらしく、そのままずっとAを探し続けることになった。
その所為か、必要以上の会話がなくなり、時間の経過と比例して空気が重くなっていっているのが分かる。
「いい加減手分けして探すか?」
「連絡方法はどうすんだよ、よくあるのろしとかだって夜じゃないと意味ねえぞ」
「一時間ごとにこの場所に戻ってくるとか。そしたら定期的にお互いの安全確認もできるし」
「面倒だけど、それしかないか」
話し合いの結果、俺とFB、きっくんとあろまで分担して行動することとなった。
きっくんはあろまとどうしても組みたかったらしい。何か理由があるのだろうか?
俺達はAの声が聞こえた方角へ、きっくん達はAの進む方向を予測して、見晴らしのいい場所へ行くことにした
多くの木々で視界を遮られる中は、FBの聴覚だけが頼りだった。
話を聞けば、人の足音が幾つか聞こえるらしい
その足音の一つに、Aはいるのだろうか
がさり
俺でも聞こえた草の音
その草の影から見えた姿は、
俺にとって、何度も顔を合わせた、何度も名を口にした、
「ぴーぴー…?おい、P-Pだよな?」
小さなリュックを背中に掲げ、重そうな足取りで歩いているP-P
俺達に気付いたようで、すぐにこっちに走ってきた。
「大丈夫か?ぴーぴ…」
俺のすぐそばに辿り着いた途端、力を使い切ったかのように倒れてしまった
そして、こいつの体を見て、すぐに大丈夫じゃないと気付く。
体中には、刃物で切られた跡
首も浅く切れ、腹部も赤黒くなっていた
ひゅ、ひゅ、と鳴る息は、風の音で掻き消されてしまいそうな程小さかった。
「……っ、
いやな、音がする。ちょっとそいつの様子見てて、俺行ってくる」
一人走っていくFBを、俺は止めることは出来なかった
友の危機に、ここから足なんて動かせなかった
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ちゃんかな(プロフ) - キヨのラスボス感が…ww面白くて一気に読ませて頂きました!更新楽しみにしてます^ ^ (2016年4月18日 6時) (レス) id: 92b328d118 (このIDを非表示/違反報告)
不眠パン(プロフ) - じぜりゅ@せぴ厨さん» ありがとう(-ω-) (2016年3月26日 2時) (レス) id: 08941b9fc7 (このIDを非表示/違反報告)
じぜりゅ@せぴ厨(プロフ) - 影ながら応援していますー!これからも頑張ってください! (2016年3月26日 1時) (レス) id: 4161755bef (このIDを非表示/違反報告)
不眠パン(プロフ) - どんどこさん» ありがとうございます!とても嬉しいお言葉です!個人の忙しい時期は終わったので更新頑張ろうと思います! (2016年2月27日 0時) (レス) id: 3ebdc808ef (このIDを非表示/違反報告)
どんどこ - 何でこんな素晴らしい作品が作れるんですか…とても尊敬します!これからも頑張ってください! (2016年2月26日 23時) (レス) id: 5d711073e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:不眠ご飯 | 作成日時:2015年8月1日 7時