【うらみちお兄さん】ブラック会社にも癒しはあるそうです

頑張った代償 ページ42

熊谷｢…ｺﾎｯ…ｺﾞﾎｯ…すみません…｣

待機部屋に響くのはガビッガビの熊谷の声。先日クソ寒い真冬の中、砂浜で撮ったアレが原因だろう。でも俺より暖かい着ぐるみを着てたくせに風邪を引くのは何となく納得いかない


兎原｢今日は熊谷無理っぽそうッスね｣

裏道｢着ぐるみだし代わりに誰かスタッフ入れば何とかなるだろ。しっかり休めよ熊谷｣

池照｢熊谷さんお大事になさってくださいね｣

兎原｢んじゃ熊谷また明後日な！｣


そう言って携帯の通話ボタンを押そうとした瞬間、女性の声が聞こえた


？｢…大丈夫？｣


ﾌﾞｯ…


兎原｢……え？｣

裏道｢……ん？｣

蛇賀｢わぁ！｣

詩乃｢やるわね〜！｣


スマホの画面を触りながら固まる兎原が焦ったように隣にいた裏道に話し掛ける


兎原｢アイツ彼女いたんスか？！俺聞いてないッスよ！！｣

裏道｢俺も聞いてねぇんだけど…｣

兎原｢…という事は？Aとイチャイチャしてても怒られないじゃーん！！Aと今日呑みに行こー！｣

裏道｢………｣


着ぐるみでルンルンと踊るウサギの足に力を込めて踏んだのは単なるムカついただけでAが絡んでるとかそういうのじゃない。……と言うか今日A見てない気がする…。

…
……
………

熊谷｢ｹﾞﾎｯ……｣


うるさかったスマホを置いてベッドに重い体を沈ませるとおでこに冷たいモノが貼られる


『電話中だったのに…大丈夫だった？』


申し訳なさそうに眉毛を下げ俺の首に伝った汗をタオルで拭うAに大丈夫だと笑うとホッとしたように微笑む


『熊谷君から電話かかって来た時はびっくりしたよ〜でも大丈夫だよ猫ちゃんにエサもあげたし今はゴロンって寝てるよ』

熊谷｢怠くて餌あげらんなくて…有給なのにわざわざゴメンな｣


有給という事は何か用事があったのかもしれない。まだ帰って欲しくないがAを困らせるのは駄目だ。そう思って顔を見ると微妙な反応をしていた


『あ…えっとね…労働基準法でね…必ず5日取らないと罰金だから…』

熊谷｢そうか…｣

『あっ…でもね猫ちゃんとも戯れたし…弱ってる熊谷君が見れたから少しだけ嬉しいかも！』


不謹慎かな？と困ったように笑う彼女が可愛くて心臓を軽く抑える。すると焦った顔で俺の近くに来て小さな手で背中をさする


『熊谷君…？大丈夫…？どうしよう…きゅ…救急車！』

熊谷｢……く…ふふ…はは｣


プルプルと身体を震わせ笑う熊谷に対してAははてなマークを出していた

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