白いキャンバス (ページ33)

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「じゃあ、行ってきます。」

「ん。気をつけて。」

行ってきますのキスね、と口付けると真っ赤になってかわいい反応をしてくれるから、このままだと押し倒してしまいそうで早く行きな、と急かす。

洗濯物が終わった音がしたから、これだけ干したら俺も出掛けよう、と取り掛かった。

久々のプライベートでの1人の外出に、なんか不思議な気持ちになる。

いつもは慎太郎が隣にいたからな、なんて思って1人でにやけては、真顔に戻って。

俺、変人じゃん。

お目当ての店に着いたら、結構男女のペアが多かった。

「なにかお求めですか？」

若い女の人が声をかけてくれて、自分で聞くのはやはり苦手だから良かったな、なんて。

「あ、指輪を。恋人とお揃いのが欲しくて。」

「かしこまりました。女性の方だとこれが人気で＿＿」

恋人、が女性だと話を進めてしまいそうになって、あわてて口を挟む。

「あ、恋人って、その、男です。」

「そうでしたか。失礼しました。そうですと、＿＿」

ペアリングで男同士のものはあまりないらしく、結局男女兼用のものを勧められたけど、結構いいものがあってそれを買った。

指輪の分だけ重い紙袋に、胸が高鳴る。

……慎太郎、喜んでくれるかな。

スキップしたい気持ちを抑えながら、軽い足取りで家へ急いだ。

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