白いキャンバス (ページ4)

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「先生、全然こっち見てくれないんだもん。せっかく前の席にしたのにさ。」

なんでついて来るの、という問いに答えると、先生は下を向いて。

…これは、照れてるな。

「先生、なんでこっち見てくれないの？」

俯いた顔を無理矢理覗き込めば、案の定顔は真っ赤。

「俺今度は教壇の目の前になろっかな。」

「やめてよ。」

半ば食い気味に答えられちゃって、じぇすちゃんかなちい。

丁度ついた準備室の扉を開ければ、もうそこは2人だけ。

「……だって、見たら授業できなくなる。」

先生は小さい声で呟いたつもりでも、雑音のない世界では十分に耳に届いた。

「え、俺見ると集中出来なくなるの？」

「……かわいいね、ほくちゃん。」

真っ赤な顔で、睨みつけてきても、なにも怖くないんだけど。なんて、言ったら睨まなくなっちゃうよね。うん。

「ジェシーこそ。」

反論するかのように言われた言葉に、え？と間抜けな声がでる。

「ジェシーこそ、この前の小テスト、落書きあったけど？」

……………そう言えば、北斗がかわいくて、松村北斗って書いちゃったかも。

「端っこに俺の名前あったんだけど。俺別に、書いてないよ？」

仕方ない。ここは堂々と言おう。

「しかも俺もうちょっと字上手いような気がするんだけど。」

…一言余計だよ。

「ジェシーがかいたんでしょ。なんか思春期の女の子みたいだよ？」

「…そうだよ、北斗が可愛いのが悪いんだよ。下手な字で書いてごめんね。」

ちょっと拗ねたように言えば、下手とは言ってない、なんて慌て始めて。

からかっただけなのに、いっぱい反応してくれる北斗はやっぱり可愛い。

「北斗。今日北斗の家行くね。」

もうすぐ次の授業が始まってしまう。

少し言い逃げっぽくなってしまったけど、次の授業は頑張れるような気がする。

・→←甚三紅 (赤×黒)