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Side.紫
パンッ
乾いた発砲音の後に続く声は無い。
紫「…大当たり。」
結局1発で命中させてしまうんやからホンマこいつはズルい。
青「なぁ。」
帰り道、運転する俺と、助手席に座るリュウセイ。
腕を組んで前を見据えたまま、クールな顔も崩さない。
男でも惚れ惚れしてまう横顔がまた少しムカつく。
紫「なに?」
青「今日は珍しく感情的になってたな。」
紫「…そう見えたん?」
…確かに、言われてみれば少し私情が入ってたかもしれない。
青「高山を1発で俺に仕留めさせたんは、情けやろ?」
紫「…ちゃうで、たまたまや。」
リュウセイにはそう言ったけど。
実はそうだったりするかもしれへん。
別に意識したわけちゃう。
山本に裏切られた高山が、惨めで、可哀想で。
せめて高山は潔く殺してやろう、山本はとことん痛みつけて殺してやろう。
そんな情けが働いた…かもしらん。
青「…まぁ、ええけど。やっぱハマちゃんは優しいなぁ。」
優しいんちゃう。
甘いんや。
こんなんじゃあかん、だから裏切られんねんって思うわ。
青「WESTに裏切る奴なんかおらん。やから無理に自分に厳しくする必要も冷たくする必要も無い。ハマちゃんらしくおればええと、俺は思うけどな。」
紫「…せやなぁ。WESTに裏切る奴はおらん、それは俺も同意や。やけど、俺の優しさでみんなを危険な目に遭わすわけにはいかへんから。」
青「それはみんな一緒なんちゃう? お互い様やって。」
紫「それでも、みんなには俺と同じ思いしてほしくないねん。」
俺の優しさと甘さが産んだ、悲しい悲しい出来事。
自業自得と言われればそれまでやと思う。
また悲しみを産まないために、みんなに同じ思いをさせないために、俺は自分にもターゲットにも厳しくする。
たとえ自分の気持ちを押し殺すことになっても、みんなが傷つくよりマシやから。
青「…ハマちゃんも結構頑固よなぁ。」
困ったようにポリポリと頭を搔くリュウセイを横目に、俺は雨が降り出した夜道を車で走らせた。
Side.青
未だ仕事モードの顔つきをしてハンドルを握るハマちゃんを横目に、俺は呟いた。
青「ハマちゃんの優しさは愛なんやで。その愛は忘れんといてな。」
自分でも思う、クサいセリフやなって。
けど、ちょうど降り出した雨音が掻き消してくれたからええねん。
アイツのことは忘れて欲しいけど、愛だけは忘れないでほしい。
『I will never call you back』END
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彩(プロフ) - 桐じゅんの関係性が好きです!!!他のみんなの関係性も最高でした!!!続き待ってます! (2022年7月30日 0時) (レス) @page15 id: aa405bd823 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - ゆいさん» ゆい様、コメントありがとうございます。お返事が大変遅くなり申し訳ありません。作者、JWの王道シンメが大好きなのでそう言って頂けてとても嬉しいです。更新をお待たせしてしまい申し訳ありませんが、今後とも読んで頂けますと幸いです。 (2021年11月2日 19時) (レス) id: 3eb57a9c79 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ツインの関係性にキュンキュンさせて頂きました…!お忙しいとは思いますが、今後も更新楽しみにしております。 (2021年8月18日 19時) (レス) id: 127582e3c7 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - オレンジジャスミンさん» コメントありがとうございます。面白いと言っていただけて大変嬉しいです。今後も頑張りますのでよろしくお願いします。 (2021年5月10日 15時) (レス) id: ecb8c0e0ac (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 匿名さん» お返事が大変遅くなり誠に申し訳ございません。ご指摘頂きありがとうございます。今後このようなことがないよう気を付けます。ご不快な思いをさせしまっていたら申し訳ございませんでした。 (2021年5月10日 15時) (レス) id: ecb8c0e0ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しぃ | 作成日時:2021年5月1日 14時