復讐屋3【JW】

I will never call you back ページ1

Side.紫



あの日、必死にかけた電話が繋がることは無かった。

耳元で鳴り響き続けるコール音が途切れた時、全てを悟った。

頭に突き付けられた拳銃。

本来なら携帯越しに聞こえるはずの声が、背後から響く。


「…サヨナラや。」


乾いた発砲音は、俺の人生の終わりを告げるにはあまりにも早くて、それでいて十分過ぎる合図やった。









紫「あ、おった。あいつやろ？」

青「あー、うん。あれやわ。」


今日はリュウセイと2人での任務。

ターゲットはとある暴力団組織のチンピラ2人。

ホンマは2人いっぺんに始末したいところやけど、今回はこれがなかなか難しい。

っちゅうことで、俺らはある作戦を立てた。

それは2人組の内の1人をまず捕らえて、仲間をおびき出すという作戦。


青「上手くいかへんかったらどうするん？」

紫「…それは、あいつらがめっちゃ仲間想いで口が固くて俺らの予想通りに動かへん可能性があるっちゅうこと？」

青「まぁ、そういうことやな。」


…愚問やなぁリュウセイ。


紫「人は誰しも、自分が1番可愛いもんやで。自分のためなら簡単に仲間を裏切れるもんや。」


俺の答えを聞いて、リュウセイは「そういうもんか」といった感じのまるで興味無さげな返事をする。

きっとノゾムやったら「冷たい」って怒るんやろうな。笑

でも、経験者の俺が言うんやから間違いない。

と言っても、俺は裏切られた側の人間やけど。


青「…ハマちゃんもやっぱ自分が1番可愛ええ？」


その質問は、俺がいつかリュウセイたちを裏切る可能性があるかを危惧してるん…？


紫「もちろん自分のこと可愛ええよ。…けど俺は裏切られる側の痛みを知っとるから。そこは安心してええと思うで。」


この回答に嘘偽りは無い。

もし何かの間違いで、またあいつと手を組むことになったとしても。

きっと俺は、あいつのことを裏切ることはできひんと思う。

それもそれでノゾムに「お人好し過ぎる」って怒られるんやろうな。

でもシゲちゃんやアキトならきっと「ハマちゃんらしいな」って笑ってくれそうや。


青「俺はハマちゃんの居場所はここやと思ってるから。ハマちゃんが辛い思いしてでも、元相棒に殺されかけてくれて良かった。」

紫「……えっなに！？ 急に！？ リュウセイらしくないやんけ！！」


こんなクサイこと言うような奴やったっけ！？

俺の知ってるリュウセイはもっとクールでイケメンで大事なことは内に秘めるタイプの…

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