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風邪 ページ6

朝。何気なく、テレビを見ていた。


やっていたのは音楽系の番組で、更に俺の好きなグループだったので完全に見入っていた。


「なぁ、やっぱり可愛いよなー」


『...ぅあ、う、うん』


遅れて聞こえた返事に違和感を覚えつつも、センターに推しメンが来ると
その違和感も徐々に薄れていった。


少し日差しが暖かくなって来る頃。


俺は日差しと無縁で、閉め切った部屋で一人編集をしていた。
すると、ガチャリと音を立てて扉が開いた。


「ん、どしたの?」


冬なのに、ふわふわとしたショーパンで寒そうだなと思うが、
そこからチラリと見えるシルクのような真っ白な脚がゴクリと唾を飲み込ませた。


そのくせ、いつもより真っ赤に紅潮した頰が、何とも言えない妖艶な雰囲気を漂わせている。


「っお、うわ!?」


意味のない叫び声をあげたのは、
Aがその華奢な身体を精一杯広げて俺に抱きついてきたからである。


何時もなら絶対にしない行為に心臓が口から出そうになるのを押さえつつ
そこでようやく今までの意味を理解した。


「ちょ、お前風邪引いてね」


抱いた身体は異様なほど熱を持っていて、よく聞くと呼吸も苦しそうだ。


『きよ』


今にも消えてしまいそうな透き通った声にびくりとする。


取り敢えず、こんな暗い部屋に居るのはあれなので、Aを抱えて寝室まで行った。


「うわ、たっか」


持ってきた体温計で熱を測ると、かなりの高熱だった。


『暑い』


「まぁ、こんだけ熱あれば暑いよな..」


ぴとり、と自分の手を前髪の中から覗く真っ白な額にあてると確実な熱が伝わってくる。


体温を確かめただけなのですぐ離そうとするとーー


『やだ』


ぼそりと呟かれた言葉は、意識せずとも手を動かさなかった。


そんな、可愛いこと言ってんじゃねーよ。


そう伝えようと視線を向けたら、本人はもう小さく吐息を立てて寝ていた。


その寝顔が、こんな時でも愛しくて。


手を外して、代わりに額に短く唇を触れさせた。

視聴者サービス 帰←キス



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ふくふく(プロフ) - 佳奈さん» コメントありがとうございます!更新遅れちゃって申し訳ないです、これからまた頑張ります (2019年8月1日 6時) (レス) id: 2cb58a5535 (このIDを非表示/違反報告)
佳奈(プロフ) - 死にます。マジで。更新頑張ってください!! (2019年7月23日 10時) (レス) id: 126972c2b9 (このIDを非表示/違反報告)
ふくふく(プロフ) - 碧さん» ありがとうございます!楽しんでもらえて嬉しいです〜!更新頑張りますね (2019年7月4日 21時) (レス) id: 2cb58a5535 (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白いです!執筆頑張ってください! (2019年7月4日 20時) (レス) id: 44684bfe2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふくふく | 作成日時:2016年12月7日 22時

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