【ky】大好きの伝え方

無視 ページ3

ピッとボタンを押すとテレビの画面が真っ暗になった。





『えー！？なんで消したの！？』





「いや、お前がテレビ見てるとなんも答えてくれないから...」





事実、俺はAに消してもいいかまで質問したのだ。



Aは一つのことに集中すると周りが見えなくなるのが重症なので、
たとえCMの時も、言葉一切聞こえてないらしい。





Aは暫くプンプン怒っていたが
やがて、座椅子からソファに登って俺の隣に座った。






『よし、じゃあキヨくん。じゃんけんをしよう』




くん付けで呼ばれたのは初めてなので新鮮味を感じながら「何で」と返した。







『だってさ、普通に話してたら面白くないよ。


勝った人が負けた人のことを聞けるゲーム！』








ほぅ、と感心する。確かに普通に楽しそうだ。






『じゃーいくよ！』




じゃんけーん





「よっしゃ！勝ったべ」






何にしようかなと迷った結果





「Aは、俺のどこが好きになったの？」




はぁ！？と一気にAの頰が紅潮していく。


それから下に俯いて何も喋ろうとしない。





暫く経ってまだ、無言なので痺れを切らして


質問を変えようかと考え始めた刹那。






『...が好き』






「き、聞こえねぇよ」






『最初は、面白いところが好きだった。

今は、全部大好き」







どんどん尻すぼみになっていく言葉は、俺にとってこの上ないものだった。






「このゲーム最高！！」






そういえば、何でこのゲームが始まったんだっけ、と我に戻って考える 。





そうだ、元はといえばAが周りが見えなくなって無視し続けていたからだ。




「無視最高！！」




『その発言はどうかと』







未だに頰の赤いAに突っ込まれても何も感じなかった。






「無視最高ーー！」




今度はもう、返事がなかった。

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