第一イベント ページ11
秋晴れのある日。
『うわぁー、広いねー』
「あと数時間もしたらここに収まりきらねぇくらいの人がくるんだぞ」
『私迷いそう」
ぜってー見つけるから。とは恥ずかしくて言えず代わりにがしがしと彼女の頭を撫でた。
手を離すとAは少し頬を赤らめて嬉しそうに笑う。
外に出るから、と薄く化粧をしたAはいつもよりも色っぽかった。
ーー特に、色付きのリップをつけた唇とか。
目のやり場に困ってると、Aと目があった。
ごくり、と唾を飲んでAの肩を掴むーー。
「はーい、イチャイチャタイムしゅーりょー」
「ちょっ！なんだよレトさん」
思わず口を尖らせた俺。
間に割り込んできた人物は、悪びれもなく話す。
「キヨくん、ここ、イベント会場やで？」
今日のイベントでは、俺とレトさんの全身ラジオの放送もやる予定だった。
俺の要望で、Aをイベント前の会場にも連れて来るとその愛嬌のある笑顔と喋り方で人に囲まれ続けていたのだ。
ようやく抜け出して、二人っきりになれたと思ったらーー、
先程の答えに知ってるわ！と返すとレトさんは少し困ったように頭をかいた。
「周りの人の目見てみー？スタッフさんとか、困っとるやないか」
はっとして見渡すと、困ってるーーというよりはニヤついた顔が八割型を占めていた。
軽く肩を叩かれて、振り向くと気まずそうな複雑な顔をしたA。
『あのさ、キヨ。私もう行くね』
「あっ、いや、まだここにいていいーー」
『キヨも打ち合わせとかあるでしょ』
ばいばい、と少し寂しそうに手を振るAに俺はどう引き止めたらいいか分からずに立ち尽くしてしまった。
カンカン、と靴が鉄に打ち付ける音が徐々に小さくなって行く。
俺は自分の情けなさに声も出なかった。
「キヨくん、アホ」
「いや、レトさんが引き止めたからでしょーが」
自分の声に覇気がないのにも気付けない。
はぁー、とため息をついてからレトさんの横を通り過ぎる。
「ちょっ、キヨくんどこ行くん？」
「打ち合わせだよ、Aに言われたからな」
早く行くぞー、と声を上げる俺の後ろでレトさんが、時間まであと30分もあんのになぁと苦笑した。
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ふくふく(プロフ) - 佳奈さん» コメントありがとうございます！更新遅れちゃって申し訳ないです、これからまた頑張ります (2019年8月1日 6時) (
レス) id: 2cb58a5535 (このIDを非表示/違反報告)
佳奈(プロフ) - 死にます。マジで。更新頑張ってください！！ (2019年7月23日 10時) (レス) id: 126972c2b9 (このIDを非表示/違反報告)
ふくふく(プロフ) - 碧さん» ありがとうございます！楽しんでもらえて嬉しいです〜！更新頑張りますね (2019年7月4日 21時) (レス) id: 2cb58a5535 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - とても面白いです！執筆頑張ってください！ (2019年7月4日 20時) (レス) id: 44684bfe2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふくふく | 作成日時：2016年12月7日 22時
