俺のさらに騒がしい生活【マサイ愛され】短編集詰め

エイプリルフール(mtms) ページ10

目の前は青く光るパソコンの画面。

手元にあるキーボードを見ず器用に動き押せば、それは演奏者と似ても似つかない。

この触れる時の音がなんとも心地いい。

だが、マサイはそんなことに目もくれず、仕事に没中していた。

その時、いままで静かにいたモトキが口を開いた。


「マサイー」

「んー、なにー」

「俺のグミ食べた？」

「っ、っえ？」


その一言に心臓が不意に跳ねあがる。

呼ばれて振り向けば、空の袋を持ったモトキが、笑顔で俺の方に顔を向けてきている。

やばい

『密かに数個、戸棚にはいてたやつを取って食べてたけど、まさかゼンブナクナッテタトワーｯｯｯ！！』


モトキが来る前、口が寂しかったので2,3個ほど頂いていたのだが...

この笑顔はやばい！

あのグミ好きモトキ様の逆鱗に触れてしまったのか俺は！

あーー！あー！顔は相変わらずいいけど！その裏に纏っているオーラはなに！ねえ！！こわい！！


「お、おれは知らねえよっ？」

「ほんと？」

「...ほんとっ！」

「まさいーちゃん目を合わせようかーほら、僕を見てー」

ヒイイイイ！

ちかいちかいちかいちかい！！！

もうそこにいるだけでむり！！

罪悪感と圧迫感で胃のものが逆流しそう！！！！！


「まさい？」

「.....った」

「た？」

「...たべましたぁ...」

「...ふふ」

「ひい！」

「そんな肩はんないでよ、別に怒ってないよーおれはっ、もーほんと、マサイって嘘つくの下手だよねー」

「へ？」

「まあその純粋無垢なとこが好きなんだけどねっ」


愛らしくも腹黒いこいつは、俺の反応を見て遊んでたってわけか....

くそー！してやられた！

悔し涙を流す横で、空だった、いや、空かと思っていた袋からグミをひとつ取り出し、口の中に頬張る。


「？え？からっぽだったんじゃ？」

「ん？いや、あったけど」

？！え、だってさっき？

「なかったんじゃ...」

「おれは食べた？って聞いただけで、別になくなった。とは言ってないよ」

「....あ、」

「先入観を持った考えは、時に自分にも誤解を生む時があるのですぞ、マサイくんっ」


1度だけでなく、に、2度までも...。

二兎を追う者は一兎をも得ず。なんて諺(ことわざ)があるけど、モトキにこれは当てはめられないと思う...

とほほ...


NEXT▶

【2またはお礼の言葉】※pink表現有→←本当に駄目？(dhms)【かけるさんリクエスト】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す