ハートの国のアリス［名前固定］ (ページ28)

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学園生活Ⅵ ページ28

セシル＝ネイビー。
　最近は私のダメなところを毎日昼休み中に指摘してくる。
　うざかわいい。

「……アリス、最近来てるあの後輩ちゃん、今日は来ないね」
「ええ、そうね。今日は遅いわね」

　もうすぐ昼休みが終わってしまう時間なのだが……。

「おい、てめえどういつもりだよ！？」

　食堂に大きな声が響き渡った。私たちが驚いて声のしたほうを見る。

「どういうつもりも何も、貴方との縁を切りたい。そういうことですが」

　三つ編みの少女。
　ちょうど話していた噂の主がそこにいた。今日は遅いと思ったら、向こうでもめていたみたいだ。入口のほうばかり見ていたから気がつかなかった。

「まだ一週間経ってねえ。てめえはまだ俺の従僕だぞ？」

「……私、そういうこと、もうしたくないんです」

「――ッ！」

　さっきからあの御曹司はなんなのだろうか。べつに彼女のような奨学生をわざわざ下僕にする必要はないと思うのだが。……そこまでしてセシルを従わせたいのだろうか。うん、もしかしたら彼はセシルのことが好きなのかもしれない。
　セシルはそんな人を好きにならないと思うんだけど。
　彼にはそれが分からないようだ。

「て、てめえは孤児のくせに！」

「……！」

「親がいないから兄と二人暮らしなんだってな？兄さんは何もしてくれていないんだろうね、君のその服を見ると。可哀そうに、優秀になった兄さんと比べて君は大成することなんてな――」

「ちょっと」

「は――？ ――ッ！」

　私が声をかけた次の瞬間、彼は吹き飛んでいた。