帽子屋ファミリーと余所者�� ページ14
「そうか。……ところでセシル。滞在場所は決まっているのか？」
「いえ、来たばかりですし。まだです」
「それならば、我が屋敷に滞在してはいかがかな？」
「そうだぜ、同志！ 俺たちと暮らさねえか？ そしたらにんじん料理が食べ放題だぜっ」
「そうだよ！ お姉さんも余所者の仲間が増えたって聞いたら、きっと喜んでくれるよね、兄弟？」
「そうだね。それにお兄さんがいればにんじん料理が片付くし…」
ああ、あの時計塔のご主人さんが言ってたことってこの好待遇のことですかね。というかこれが夢なら、もっといい待遇を受けたいって思っていたことになるのでしょうか…。
夢は深層心理の表れといいますし。
うわあ……。それって相当恥ずかしいですね……。
「いえ、遠慮します。出会ったばかりの方にご迷惑をおかけすることは出来ません」
そう言って立ち去ろうとすると、ブラッドさんは相変わらず気だるげな笑みを浮かべ、
「そうか。では、またここに来るといい。いつでも歓迎しよう」
と言ってくれたので。
「はい。紅茶、美味しかったです！ 今度はスコーンを持ってお邪魔しますね！」
と返しました。どこで作るのかはわかりません。次来るときには安全な場所に居を構えていたいものです(願望)。
「次はにんじんクッキー用意して待ってるぜ！」
「お兄さん、僕らもついていくよ――」
「ってこら、おまえら、仕事をサボるんじゃねえ！」
「放せよ！ ひよこウサギ！」
「そうだよ！ 子供を虐待するなんて、最低の大人のやることだよ！」
首根っこをつかまれ、暴れるディーくんとダムくん。そんな中でもマイペースを決め込むブラッドさん。微笑ましいというか……。マフィアとは思えませんね。
なんだか、殺されかけた、というのが信じられないくらいのほのぼのさなんですけど！
私はひらひらと手を振り、その場を後にしました。ブラッドさんだけがにこにこして手を振ってくれましたけれど、エリオットさんと双子くんは騒いでいて気づいてくれませんでした。
いやあ、夢の世界もなかなか楽しいですねえ。
物騒でなければ、ですが。
自分の図太さをこんなところで実感するとは思いませんでしたよ。自分を殺そうとした人たちと和やかにお茶会が出来るなんて、ねえ。
……さて、次はどこに向かいましょう。
answer＝遊園地
NEXT STASE！
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作者名：フェン | 作成日時：2014年7月7日 22時
