帽子屋ファミリーと余所者�� ページ13
「……ただ、紅茶とあわせるのはやや邪道ですねえ」
残念です。これが珈琲だったら良かったのですが……。にんじんの自然の甘みと、珈琲の苦みがちょうどいい感じなんですよ〜。
「紅茶はやはり、スコーンと合わせるべきです」
「その通りだ、お兄さん。美味い紅茶と美味いスコーン。これさえあれば、ほかになにもいらないだろう？」
変な帽子を被った男性は、心底そう思うと頷いて、気だるげに笑いました。……それにしても、見れば見るほど可笑しな帽子ですねえ。何ですか、あの値札。しかも高っ。
……ああ、時計塔のご主人さん、ごめんなさい。センスがあれって思いましたけれど、この人よりはマシです……。それが似合っているのも不思議なんですけれど。
ま、それはいいとして。どうやら私たち、
「気が合いますね。えーと…」
「そうだな、自己紹介がまだだった。私は、ブラッド＝デュプレ。そして隣にいる、味覚の破壊されたウサギが――」
「ちげーよ、ブラッド！ 俺はウサギじゃねえ！ 俺はブラッドの忠犬のエリオット＝マーチだ。よろしくな！ 同志！」
いや、どう見てもウサギでしょうと思いますが、優しい私はもう指摘しません……。
すると双子らしき少年たちが貪り食うのを止めて、
「僕はトゥイードル＝ディーだよ。よろしくね、お兄さん」
「僕はトゥイードル＝ダムだよ。仲良くしてね、お兄さん」
えーと、青いほうがディーくん。赤いほうがダムくん、ですね。
理解しました。
っと、私の名前がまだでしたね。
「私はセシル＝ネイビーです。趣味は料理と読書です。よろしくお願いします」
にっこりと微笑んでみます。
それにしてもマフィアとお近づきになってしまうなんて、兄さんが聞いたら卒倒しそうですねえ。夢の中とはいえ、なかなかに大胆なことをしています。
……というか、皆さん、いい加減気づいてください！ 私、女です！
まあ、セシルって名前自体、男女兼用ですからねえ……。気づかないのも無理…ありますよ！ 声で判りませんか！？ ふつう。
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作者名：フェン | 作成日時：2014年7月7日 22時
