黒帽子が八つ ページ9
今日は強い向かい風が吹いていた。
Aは昨日より10分程早く家を出た。昨日は桜吹雪が綺麗だった桜は遂に散り始め、公園の隅には薄桃色の絨毯が出来上がっていた。来年こそ皆で来よう、そう心に誓って彼女は落ちてきた前髪を掬い上げた。
さて、本来なら此の十字路を直進するのだが、Aは右の道に入った。
察しの通り道を変える為だ。
右の道は細い上に曲がりくねった所が多く、探偵社のある通りに出るのが本来の道より数分遅くなるのだが、左に行けばほぼ反対方向に進んでしまうし、かと言って今まで通りの道は鉢合わせになる可能性が高いので、結局は遠回りする他無い。
時間がずれるのは違和感があるが、此れも仕方の無いことだ。Aは緊張気味に足を進めた。
此の道は住宅が多いのか。
昔のような瓦屋根の家はあまり見られず、真新しい白色の壁の家が並んでいた。恐らくここ数年で増えたのだろう、幾つかの窓には「○○坪」と書かれた紙が貼られていた。
そしてこの時間帯、主婦の方々は家事を始める頃なのだろうが、早速右側の家から年配の女性が洗濯物の入った籠を持っていそいそとベランダへ出てきた。それに続いて、他の家でも色とりどりの洗濯物が干し竿へ置かれていく。
其の様子を眺めながら、Aは黒い洗濯物が出てくる度に反応しながら歩いていた。
そして、遂に彼女は見つけてしまった。
黒帽子を。
中原の物と比べて地味な雰囲気だ。大きさも異なるし、まず形が違う。つまりあの黒帽子に固まる必要は無いのだが、Aの視線はどうしても其の帽子を捉えていまう。原因なんて分かりきった事だ。
Aは必死に目と心を逸らした。見てはいけない、意識してもいけない。いつの間にかAは走っていた。
探偵社に着くまでに中原と会うことは無かった。が、Aはここ数ヶ月の中で一番疲れきっていた。
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ちくわの国の深井さん(プロフ) - 姫蛍さん» TKです(( 文才ないので渡せませんw (2017年7月28日 21時) (
レス) id: d729c286e5 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - そうですね！！TKですね！！…文才くださいw (2017年7月28日 21時) (レス) id: eab093c7da (このIDを非表示/違反報告)
ちくわの国の深井さん(プロフ) - 姫蛍さん» コメントありがとうございます！TK(中也はかっこいい) (2017年7月28日 21時) (レス) id: d729c286e5 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - 中也かっこいい・・・そして、いろいろと羨ましいぞ、夢主ぃぃぃぃ！！ (2017年7月28日 21時) (レス) id: eab093c7da (このIDを非表示/違反報告)
深井さん(プロフ) - 千夜ママンさん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです♪中也の腹筋絶対に割れてますよ……サワサワ……← (2017年4月25日 18時) (レス) id: d729c286e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深井さん | 作成日時：2017年4月9日 20時
