検索窓
今日:14 hit、昨日:1 hit、合計:24,398 hit

黒帽子が二つ ページ3

長らく見つめ合っていた二人だったが、先に我に返った中原が食って掛かる。


「手前何で俺の帽子被ってんだよ!返せ!」
「道に置いていったのは貴方でしょうが……まあ別に欲しくないし返しますよ」


届くならね、とAは黒帽子を持った手を高く上げる。中原は彼女を異能で潰しそうになるも、いかんいかんと何とか堪えた。


「本っ当に太宰に似てるよな……腹立つ」
「私の言動によって苛々してくださる方がいるとは光栄です。貴方の胃に穴が開く日を楽しみに生きていきます」


適当に頭の中で考えたことをそのまま口に出すと、中原は「死なす……太宰と一緒に潰す……」とうわ言のように繰り返し呟いた。





腕が疲れてきたAは、「はいどうぞ」と黒帽子を放り投げる。突然の終戦に一瞬驚く中原だったが、持ち前の反射神経で其れを何とか掴んだ。


「流石反応しますね……小さいのに」
「関係無ェだろ」
「そうですか?ほら、小さいと__」


タイミング悪く、Aの携帯が鳴る。聞いて「うわあ……」と引く者の気持ちが分かるような着信音が流れると、中原は耳を塞いだ。


「はいもしもし、中拂で」
「A!!」


鼓膜を突き破りそうな大声の応答に、Aは咄嗟に携帯を耳から離した。


「何ですか?……国木田さん」
「何ですかでは無い!出社時間からもう2分9秒も経っているぞ!」
「あれ、本当だ」


腕時計を確認すると、確かに何時もの時間から少しだけ短針が右に傾いていた。


怒りの声を受けながら、Aは電話を切った。


「次は仕事か何かで。それでは、素敵帽子さん」


少々照れながら、中原は「次は潰してやる!」と叫んだ。

黒帽子が三つ→←黒帽子が一つ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (77 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
108人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちくわの国の深井さん(プロフ) - 姫蛍さん» TKです(( 文才ないので渡せませんw (2017年7月28日 21時) (レス) id: d729c286e5 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - そうですね!!TKですね!!…文才くださいw (2017年7月28日 21時) (レス) id: eab093c7da (このIDを非表示/違反報告)
ちくわの国の深井さん(プロフ) - 姫蛍さん» コメントありがとうございます!TK(中也はかっこいい) (2017年7月28日 21時) (レス) id: d729c286e5 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - 中也かっこいい・・・そして、いろいろと羨ましいぞ、夢主ぃぃぃぃ!! (2017年7月28日 21時) (レス) id: eab093c7da (このIDを非表示/違反報告)
深井さん(プロフ) - 千夜ママンさん» コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです♪中也の腹筋絶対に割れてますよ……サワサワ……← (2017年4月25日 18時) (レス) id: d729c286e5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:深井さん | 作成日時:2017年4月9日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。