黒帽子が二つ ページ3
長らく見つめ合っていた二人だったが、先に我に返った中原が食って掛かる。
「手前何で俺の帽子被ってんだよ!返せ!」
「道に置いていったのは貴方でしょうが……まあ別に欲しくないし返しますよ」
届くならね、とAは黒帽子を持った手を高く上げる。中原は彼女を異能で潰しそうになるも、いかんいかんと何とか堪えた。
「本っ当に太宰に似てるよな……腹立つ」
「私の言動によって苛々してくださる方がいるとは光栄です。貴方の胃に穴が開く日を楽しみに生きていきます」
適当に頭の中で考えたことをそのまま口に出すと、中原は「死なす……太宰と一緒に潰す……」とうわ言のように繰り返し呟いた。
腕が疲れてきたAは、「はいどうぞ」と黒帽子を放り投げる。突然の終戦に一瞬驚く中原だったが、持ち前の反射神経で其れを何とか掴んだ。
「流石反応しますね……小さいのに」
「関係無ェだろ」
「そうですか?ほら、小さいと__」
タイミング悪く、Aの携帯が鳴る。聞いて「うわあ……」と引く者の気持ちが分かるような着信音が流れると、中原は耳を塞いだ。
「はいもしもし、中拂で」
「A!!」
鼓膜を突き破りそうな大声の応答に、Aは咄嗟に携帯を耳から離した。
「何ですか?……国木田さん」
「何ですかでは無い!出社時間からもう2分9秒も経っているぞ!」
「あれ、本当だ」
腕時計を確認すると、確かに何時もの時間から少しだけ短針が右に傾いていた。
怒りの声を受けながら、Aは電話を切った。
「次は仕事か何かで。それでは、素敵帽子さん」
少々照れながら、中原は「次は潰してやる!」と叫んだ。
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ちくわの国の深井さん(プロフ) - 姫蛍さん» TKです(( 文才ないので渡せませんw (2017年7月28日 21時) (レス) id: d729c286e5 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - そうですね!!TKですね!!…文才くださいw (2017年7月28日 21時) (レス) id: eab093c7da (このIDを非表示/違反報告)
ちくわの国の深井さん(プロフ) - 姫蛍さん» コメントありがとうございます!TK(中也はかっこいい) (2017年7月28日 21時) (レス) id: d729c286e5 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - 中也かっこいい・・・そして、いろいろと羨ましいぞ、夢主ぃぃぃぃ!! (2017年7月28日 21時) (レス) id: eab093c7da (このIDを非表示/違反報告)
深井さん(プロフ) - 千夜ママンさん» コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです♪中也の腹筋絶対に割れてますよ……サワサワ……← (2017年4月25日 18時) (レス) id: d729c286e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:深井さん | 作成日時:2017年4月9日 20時