夢の記憶 ページ21
暗闇の中で目を凝らすと、遠く目の前に置かれたストーブが目に入ってきた。赤い光をぼんやりと放っているはずのそれからは、少しも暖かさを感じない。頬がぶるっと震える。
対して、オレの体はあたたかいものにぴったりと包まれていて、とても温かかった。
ぼんやりと周囲に見えるのは積み上げられた箱…木箱、だろうか。例の、あの夢だ。
だけど、いつも背後にいるはずの太輔はオレの真正面から抱きついていて、体をひねるように、伸ばした右腕を前方に向けていた。
これは…先の展開…？
前回見た、銃撃戦の続き…？
そうだと確信を持ちながらも、でも、急な展開に頭の整理が追いつかない。
なんでいきなり、こんな夢を見始めたんだろう。
今までは一枚の写真みたいに、静止画の記憶が再生されているだけだったのに。
「…渉」
緊迫の中で静かにオレを呼んだ声は、とても小さかったけれどとても真剣で、とても聞き取りやすい音だった。
…やっぱり、渉。
これがオレの名前だったんだ。
失われた欠片がほんの少しだけ戻ってきた事で、オレの胸がきゅうっと軋む。そんなオレの耳に、太輔の吐息が触れた。
「あのね、俺がカウントするから、渉はゼロのタイミングで車まで一気に走って」
小さな小さな、だけど、とてもハッキリとした発音だ。
太輔のカウントで車まで走る？
…なんで？
そもそも車って、どこにある、どんな車なんだ？
車のある方向って、いったい、どっちに向かって走ればいいんだ？
そんな疑問が沸き上がって混乱しているのに、夢の中のオレはまた、すべてを理解したように勝手に口を動かした。
「でも太輔…せっかく来たのに」
「今は俺達の命が最優先だよ。まずここから逃げなきゃ、この先はない」
「そんな」
「せっかく教えてくれたのにごめんね、渉。でも…悔しいけどこの状況じゃ、一番大切なもの以外は捨てるしかないんだ。今は、渉だけしか選べない」
太輔とのやり取りに、頭が混乱して爆発しそうだ。
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風華(プロフ) - 沢歌さん» はじめまして！こちらこそ見つけて読んで下さって、そしてもう一度読んでいただけるなんて本当に嬉しいです…ありがとうございます…！ぜひぜひ、一度目と、真相が分かってからの二度目とを読み比べてみてください(*^^*) (2022年3月12日 20時) (
レス) @page50 id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
沢歌(プロフ) - はじめまして！面白いお話ありがとうございました(*´꒳`*)答え合わせするために再度、最初から読んでみます！ (2022年3月11日 21時) (レス) @page50 id: 0c2f370c18 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - mi-chanさん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございます！そしてイチャイチャの希望もありがとうございます。時期は決まっていませんが、折角恋人同士になったので、何かのタイミングで仲良しさせてあげられたらいいなと思ってます(*^^*)気長にお待ちいただけたら嬉しいです。 (2022年3月9日 16時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
mi-chan(プロフ) - ハッピーエンドで終わって良かったです！絶体絶命のピンチでハラハラしていたので…北山さんが苦手な太輔さんも面白かったです。おまけで太輔さんと渉さんのイチャイチャなどあるといいなと思ってます（笑）ドキドキするお話をありがとうございました！ (2022年3月8日 2時) (レス) @page50 id: fa52f3ba38 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - kumiさん» ようやく結末まで書ききることができました。楽しみだと、面白いと言っていただけて、本当に嬉しくて励みになります。ずっと二人を見守り続けてくださってありがとうございました！ (2022年3月7日 13時) (レス) id: e81894f7b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風華
| 作成日時：2021年12月15日 20時
