俺と私は分かり合えない【テニスの王子様】

第二話 ページ4

「桜乃ちゃん、もう少し腰を落としてー、そう良い感じだよー」


部活の時間、今日は自主練習で後輩を指導しながら私は私の練習をしていた。


「桐生先輩、ご指導ありがとうございます···!」


精一杯頭を下げて礼を言う桜乃ちゃん。


「いいよ、気にしないで大丈夫だから」


なるべくニッコリと優しく笑う。


すると桜乃ちゃんは安心した様で


「よかったぁ···」


と呟く。


彼女はとても従順で素直で優しい子。


ここまで素直で純粋な子は初めて見た。


桜乃ちゃんの周りはこんなひねくれた私でもどことなく、安心する。


「桜乃ちゃん、少し休憩しといで」


私は桜乃ちゃんを休憩に入れ、自身の練習を再開した。


正直言って、私は男テニのレギュラー陣にも引けは取らない実力がある。


その証拠に二年生、去年は初めて出た全国大会で優勝した。


個人だけど。


青学の女テニは確かにそこそこは強いが都大会止まりで団体は限界。


他校にも何度も誘われたが、拒否。


理由は家の事情。


家は超が付く程の貧乏だし、弟妹の世話もある。


確かに奨学金の話もあったがやはり弟妹の世話をするなら青学一番いいのだ。


·····うん、いい音した。


私は自分の納得がいく玉が一定規数を超えると、練習を切り上げた。

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