鞠ななつ。 ページ7
黒髪の少女が、退屈そうに石を蹴った。
少し前から太宰の拘束は解かれ、二人共がコンクリートに腰を下ろして話し込んでいる。
ボスは話が長い。そのことを身をもって知っている彼女は、本当に本当に退屈していた。
このまま『人形遊び』を始めてしまいそうだ。
「ああそれで、あんたを捕まえた理由だがな。ちょいと『預かり物』を頼みてぇんだ」
「おや、てっきり『面倒な』コースだと思っていましたが」
「ソッチのほうが好みかい?」
「とんでもない。ええと……洗浄目的の闇金だのアシの着かない武器だのは止めるのをお勧めしますよ。ウチには理想の人や名探偵も居ますので、即刻告発されちゃいます」
笑顔を浮かべながらも暗に断る太宰。しかし鈍感なのか気付かないふりをしているのか、カラカラと笑ってそれならもっといいところを知ってる、と言った。
「そんなんじゃねえよ。おい、待たせて悪かったな。こっち来いよ」
チョイチョイと手招きされた少女は、こちらに歩いてきた。
「こいつはA。『預かり物』だ。こいつを俺が迎えに来るまで預かっててほしい。場所は探偵社でもあんたの家でもいい。手は出すなよ」
少女______Aは、事前に聞かされていた訳ではなかったのか、少しオロオロしている。
「うまくねぇぞ」
次の瞬間、スパアァァアアン!! と恐ろしい音を響かせてボスの頭が鳴った。Aが叩いたのだった。
「痛っっっってぇな! 何しやがんだ!」
「バカなんですか?」
「バカなんですか?」
「太宰テメェ」
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藤見日和(プロフ) - 竜泉さん» わぁ〜ありがとうございます! 頑張ります♪♪♪♪♪ (2017年2月4日 0時) (レス) id: 3600278a3d (このIDを非表示/違反報告)
竜泉(プロフ) - 描写表現が豊かで世界観がよく分かります。 とても面白いと思います、更新頑張ってください! (2017年2月3日 23時) (レス) id: 388cb5bae8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤見日和 | 作成日時:2017年1月14日 21時