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鞠みっつ。 ページ3

「おおー…………」


太宰はおもわず感嘆の声を上げる。

そこはただの倉庫ではなかった。

地下に、掘られていたのだ。


「……なるほど、これで連れ込んだ獲物は確実に殺すということか」

「……国木田くん、手帳ある?」


両手を挙げたまま、太宰は彼に問う。

すると彼はにやりと笑い、こう言い放った。


「反撃といこうじゃないか」






ーーーーーーーーーーーーー
「ふー、これで全員かな?」


息を吐く二人の周りには、死屍累々と形容するにふさわしい景色が広がっていた。もはや起き上がれる者は誰一人としていない。

地下ならば、ここで炸裂した国木田の爆弾や、業者たちの悲鳴も外に漏れていない筈だ。

あとは社に連絡し、軍警に突き出せば終了である。


「太宰は探偵社に連絡しろ。俺は援軍が来ていないか確認してくる」

「はい、行ってらっしゃい」


ひらひらと手を振った太宰は携帯を取り出し、探偵社の番号をプッシュする。









「ッ‼」




気づいた時には、太宰は後頭部を勢いよく蹴り抜かれ、激しい痛みとともに冷たいコンクリートに叩きつけられていた。

その一瞬あとから、ガンッ‼という鈍い打撃音が耳を打つ。


「はい終了。ごめんなさい、探偵さん」


気配を完全に消していた。


「………困っ……た、なあ、……………」


遠のく意識の中で、太宰は黒真珠のような瞳を見、冷たい陶磁器のような心地の手を、感じた。

鞠よっつ。→←鞠ふたつ。



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藤見日和(プロフ) - 竜泉さん» わぁ〜ありがとうございます! 頑張ります♪♪♪♪♪ (2017年2月4日 0時) (レス) id: 3600278a3d (このIDを非表示/違反報告)
竜泉(プロフ) - 描写表現が豊かで世界観がよく分かります。 とても面白いと思います、更新頑張ってください! (2017年2月3日 23時) (レス) id: 388cb5bae8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤見日和 | 作成日時:2017年1月14日 21時

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