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鞠ふたつ。 ページ2

人気のない、貧民街の側。

そこには、まるでやる気のない表情を浮かべた男がいた。

武装探偵社員である太宰治、今日も今日とて良い自 殺スポットを探して_______

いるわけではない。

なぜなら、そのすぐ横には眼鏡をかけた男が怒鳴りながら追随しているからである。


「おい太宰、何故そこまでやる気のない顔をしている? 真面目に探せ!」

「国木田く〜ん、それなら尋ねるけれどね、何故私も出る必要があるのかなぁ〜」


彼ら武装探偵社に、先日とある依頼が届いた。

『貧民街近くの工場で、妙な雰囲気のする輩が屯しているのが見えた。巷で話題の密輸業者たちではないか?』といった旨のものだ。

本来は、眼鏡の男_____国木田独歩が一人で任務を遂行する予定だったが、最近は敵対組織のポートマフィアの動きもある。従って、社長である福沢諭吉の指示で、暇そうだった太宰治を連れ出したのだった。


「全く、あと少しで自 殺マニュアルを読破できるところだったのに」

「そんな物騒なものを読むな。大体お前は………」




『貴様ら動くな‼』




「!」


二人に緊張が走る。


「あれ、偵察という話ではなかったっけ」

「俺に聞くな」


相手は第一声を発した男を含め、ざっと二十人ほど。

ほとんどが散弾銃と思しき武器を携えているのを見ると、彼らが例の密輸業者で間違いないだろう。

皮肉にも最初に目をつけたこの貧民街がビンゴだったというわけだ。


『両手を挙げ、正面の倉庫に入れ。妙な動きをした時点で撃ち殺す』

「……やれやれ、隠れる場所もないし、一先ず言うことは聞いておこう」

「……無難だな」


こそこそと相手を刺激しないように言葉を交わし合う。

探偵社に連絡できるチャンスもないと思われるが、太宰は飄々とし、国木田までも涼しい顔をしていた。



散弾銃などで、天下の武装探偵社が抑え込まれるわけがない、と思っていたのだ。

事実、このような連中に社を襲撃され制圧される、などということは今まで一回もなかった。



思いもよらない。

まさか、一人の少女によって、彼らが冷たいコンクリートに伏すなど。

鞠みっつ。→←鞠ひとつ。



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藤見日和(プロフ) - 竜泉さん» わぁ〜ありがとうございます! 頑張ります♪♪♪♪♪ (2017年2月4日 0時) (レス) id: 3600278a3d (このIDを非表示/違反報告)
竜泉(プロフ) - 描写表現が豊かで世界観がよく分かります。 とても面白いと思います、更新頑張ってください! (2017年2月3日 23時) (レス) id: 388cb5bae8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤見日和 | 作成日時:2017年1月14日 21時

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