★想い出駅【出水公平】 ページ1
駅の構内に、ひとりで立っていた。
霧が周りを緩く取り巻いて、風景なんてものは見えなくて。
なんだっけ。
おれ、なんでここに居るんだっけ。
『出水くんも電車通学なの？』
『偶然だねえ、何時の？』
「_________ッ‼」
ばっとベンチを振り返ると、ぼんやりとしたシルエットをとらえた。
「………だれ、だっ、け…………？」
固まるおれを置き去りにして、音と映像は流れる。
『へー、あのボーダーに入ってんだ？』
『やっぱり怖かったりする？ あの怪物』
まるで質の悪い映写機の映像を見せられているみたいだ。
ざざ………と時々ノイズが音を割る。
『あー、やっぱまあ、怖かったりはするよ』
突然、少女の側におれが映し出された。
「なん、だよ。これ……知らな……」
喉が渇いている。
呼吸もままならない。
・
【想い出せませんか？】
【私のこと】
「あ……？ …う」
【だってほら、あなたは楽しそうだ】
眼前では、まだ映像は流れ続けている。
『怖いけど、チームメイトは信頼してるんだ。隊長が鬼みたいに強いから』
『おれは街を守りたいから入ったんだ。遠征も侵攻も怖くない』
『みんなを守りたいから』
「あ………あ………‼」
両眼から水滴がぼたぼ
たと垂れた。
ホームに 染みを作る
【楽しかった時間を、あなたは忘れてしまったみたいだ】
【想い出駅は、来る未来の代わりに想い出が走ります】
【持ち主が、呼び止めるまでずっと】
い
やだ、チガウ。 こんなの、
おれは、
【次がいつになるか分かりませんが】
【近いうちにまた、あなたはここに来るでしょうね】
【また、次で会いましょう】
・
あ の子のこと、守 れなか ッタ
『守りたい』 って い ッタ の に………
・
「…………い、おい、出水‼」
「…………あ？」
いつも通りの教室。
蝉が煩く鳴いている。
「お前大丈夫か？」
目を開けると、漆黒の瞳が顔を覗き込んでいた。
米屋だった。
「いいから泣け。ほら」
「………っ……く……」
水滴が、たちまち机に水たまりを作った。
夢の内容は憶えていなかった。
なのに、無性に哀しくて。
米屋はなにも言わなかった。
ただ、傍に居た。
『出水くん！』
もう一人いた気がしたけど、忘れてしまった。
誰だっけ。
おれ、なんでここに居るんだっけ。
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久城墨香(プロフ) - 丸干しさん» ありがとうございます！！初のネイバーくんだったので心配だっったのですが、喜んでいただいて嬉しいです！！ (2016年12月19日 14時) (
レス) id: 696e4784d7 (このIDを非表示/違反報告)
丸干し - ヒュースかわええ...(/ω＼) (2016年12月19日 9時) (レス) id: ca2c405926 (このIDを非表示/違反報告)
久城墨香(プロフ) - 魅野漓さん» ありがとうございます！！！ (2016年12月10日 20時) (レス) id: 696e4784d7 (このIDを非表示/違反報告)
魅野漓 - きくっちー最高です！！ (2016年12月10日 19時) (レス) id: 0bc80e46bd (このIDを非表示/違反報告)
久城墨香(プロフ) - リリンさん» 良かったです！！ (2016年12月4日 11時) (レス) id: 696e4784d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：久城墨香＆藤見日和 x他1人 | 作成日時：2016年7月23日 11時
