episode99 ページ8
“あの二人っていつからあんな仲良くなったんだ？”
“不思議、ジョンハンが特定の人といるのって”
僕らが距離を縮めるのに時間はかからなかった
ジョンハン:お前アメリカで友達いなかっただろ。
僕が興味あると言ったファーストフード店に入ると彼は注文の仕方を教えてくれた
韓国に移住して初めての春を迎える頃だっただろうか
アメリカにいた頃よりも熱心に勉強をしていた為、放課後どこかに出かけることが無かった僕を
色んなところへ連れて行ってくれた。
窓側のカウンター席でジョンハンにそう指摘されると僕は笑った
ジス:うん。鼻につく男だったと思う
勉強は裏切らないという父の言葉を信じてそれ以外のことは疎かにしてきた
だけど神父が言うように医者にとって人と触れ合うことは欠かせないことである
医者が治すのは病気だけではない
病気によって傷ついた患者の心をケアするのも医者の役目だ
ジス:愛想の悪い医者よりも愛想の良い医者の方が良いでしょ？
幸いにも僕は生まれつき優しそうな顔をしているらしい
だから愛想良く笑っていれば周りの人は僕に好意的な印象を持ってくれる
ちらりと隣のジョンハンを見れば聞いているのか聞いていないのか。
窓の外の方を見ながらハンバーガーを口いっぱいに頬張っていた
ジス:聞いてる？
ジョンハン:聞いてる。医者って他人のためによく人生預けられるよな
彼の発言は一つ一つが嫌味を込めている
僕は今まで生きてきてこれだけ嫌味を言う人物に出会ったのは初めてだ
相当言葉選びのセンスが乏しいんだと思う、ジョンハンは。
本当は僕みたいな寂しい人間を一人にしない優しい人なのに
きっと僕よりもジョンハンのような人物が医者に向いているのかもしれない
ジョンハン:でもお前は凄いよ。俺だったらそんな毎日勉強の人生、どっかでぶっ壊れそう
ジョンハンが勉強する姿は殆どと言って見たことがない
それでも僕が唯一取れない国語と体育の成績は彼が常に首位だった
勝てないこともあるのだと韓国に来て初めて味わった
ジス:ジョンハンは将来の夢はないの？
将来の夢？と首を傾げるジョンハン
眉間にしわを寄せても彼は思いつかないようで、今まで面接やらどうやって答えてきたのだろうか
ジョンハン:無い。けどジスよりは平凡な生き方してると思う
「普通」
「平凡」
それはジョンハンが口癖のように言っていた言葉だ
彼から見たら僕は平凡な生き方に見えなかったのだろう
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なっちゃん - とても面白くて一気に読んでしまいました！もう続き出す予定はないですか？ (2022年8月17日 9時) (
レス) id: 9b624f6706 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっこちゃん
| 作成日時：2021年5月16日 18時
