エンディング3 Jun (ページ34)

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episode125 ページ34

何か滑稽な発言をしただろうか

隣に座る彼女は手を止め、瞬きすらせずに硬直している
滑稽な発言をしたつもりはないが異国人の彼女からすれば変わった捉え方でもされたのだろうか

ジス:…Aさん？

同じようなことが前にもあったような…
彼女が固まるような反応を示したのは前にもあった

…そうか
ブリザードフラワーをプレゼントしたあの時と同じなんだ

覗き込むように下から彼女の顔を目にすると、頬を赤く染め上げている

ジス:…僕、失礼な発言をしましたか？

この世界は歪んでいる
人類は神の下に平等であり、身分など人類が決めたものに過ぎない
平等を容易に口にできるものの宗教などの異文化を受け入れることが容易でない
育った環境、住んでいる環境が異なれば容易に受け入れることが困難なのは分かっている

現に彼女に対して何気ない発言をしたつもりでも、彼女にとったら固まるほどの発言だったのかもしれない

「…ジスさん、よくそのような言葉がサラッと出てきますね。」

前に同じ反応をした彼女は嬉しそうに笑みを浮かべたのに、今の彼女は…
なんとなく傷を負ったような表情を浮かべているように思えた

「女性を喜ばせるのに慣れているんですね。」

苦笑という言葉が良く似合う
口角を無理やり上げているのに、目元は今にも泣きだしてしまいそうな
どうしてそんな表情を浮かべるのだろう

僕の発言が女性に慣れている発言だと捉えられたのなら、どうして彼女が傷つくのだろう

ジス:僕が女性に慣れていたとしたら、どうして傷ついた表情を浮かべるんですか？

それがどういうことを意図する問いであったか、彼女も分かっていたのだと思う
少し卑怯であったか。意地の悪い質問であったか。
僕は彼女がどんな反応を見せてどんな答えを出してくれるのか興味があった

先ほどまで肩が触れるか触れないかの距離であった僕ら

僕はやはり意地の悪い人間なんだと思う

彼女が僕に都合が良い答えをくれるように肩も腕も密着し触れ合っていた
狭いカウンターで僕らはいつキスをしてもおかしくないようなそんな距離

僕は不正だらけの仕掛けのある問いを彼女に問いかけた

「……羨ましいです。」

だけど意地の悪いのは僕よりも君なのかもしれない

僕が想定していた答えからは想像のつかない言葉で返してくる

「ジスさんは素敵な方なので、優しくしてもらえる女性を羨ましく思います」

時折説明口調になる彼女のことを
愛おしく思うなんて。