episode115 ページ24
ベンチに横になった彼女はぐったりとしており、それでも片手でお腹を押さえている
ジス:すみません。近くのコンビニで経口補水液買ってきてもらえますか？
“け…なんて？”
ジス:経口補水液です。店員さんに聞いてもらえれば分かると思います、無かったからといってスポーツドリンクは買わないでください。
声をかけてくれた中年女性は頭にはてなを浮かべる表情を浮かべながらも、コンビニまで駆け足で向かってくれた
救急車が来るまでの応急処置として一番手っ取り早い
女性が戻ってくる前に救急車が来てくれればいいんだけど…
ジス:もうすぐ救急車来るので…
実際にこのような現場に遭遇することなど人生で数少ない
医療従事者となれば日常となるが大学生の僕にとって初めてのことだった
苦しむ人を前に適切な処置が出来ているのだろうか
もし僕が声をかけなければ彼女はどうなっていたのか
救急車が来るまでの数分間、そんなマイナスなことが頭をよぎり
先ほどまで自分の死を他人事のように楽観視していた自分とはまるで別人のようであった
“お兄さん！買ってきたよ！”
中年女性がペットボトルを持ってきたタイミングで丁度救急車のサイレンが遠くから聞こえてきた
顔面蒼白の横たわる女性の上半身を起こし、ペットボトルの経口補水液を何口かゆっくり口に含ませた
これで少しは良くなればいいと思うんだが…
ピーポーピーポー…
数分後、救急車が駆け付けると女性は運ばれた
運ばれると救急隊のうちの一人の方が僕と中年女性に対して何個か質問を向けた
“こちらの女性のご家族の方ですか？”
ジス:あ、いえ僕たちは通りかかった通行人です
“お兄さん病院まで付き添ってあげなさいよ。”
遠慮している僕に対して中年女性はそう口にするが僕の立場は通行人の一人だ
女性と変わらない立場のはずだが。
救急隊の方にも同乗することを勧められ、結果として僕はまた病院に逆戻りすることになった
救急車に同乗することは初めてで病院に到着するまでずっときょろきょろと車内を見渡していた
きっとあの症状からして、恐らく胃腸炎。
腹を押さえていたので急性なのか…
ジス:……あれ。
“どうかされましたか？”
僕の正面に座る救急隊の方が僕の漏れた声に反応を示した
顔色や身体のことにばかり気を取られていたので気付かなかった
ジス:…あの
僕、この女性一度会ったことあります
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 826人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なっちゃん - とても面白くて一気に読んでしまいました！もう続き出す予定はないですか？ (2022年8月17日 9時) (
レス) id: 9b624f6706 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やっこちゃん
| 作成日時：2021年5月16日 18時
