episode102 ページ11
ジョンハンは僕のことを「平凡」でないと言っていたが
どこからどこまでが平凡で、平凡でないか
目視出来ないのにどうしろと言うのだ
僕も、自分では「平凡で」「普通に」生きていたと思う
だけど医大に進学したことは僕にとって、より深くその意識を強くさせた
“ホンジス！あの大学病院のホン院長って君の父なのか？”
僕と初対面の学生は必ずといってその言葉を口にしていた。
代々父方の家系は医者の家系であり、ソウル一の大学病院は戦後曾祖父が築き上げたものだ
祖父が継ぎ父はアメリカで外科医として名を上げロサンゼルスでも有名な外科医であった
僕はこの世に生を受けた瞬間から医者になることは義務付けられている。
アメリカから韓国に移住をした父は祖父の後を継ぎ、現役の外科医として院長を勤めている
この世界の者なら父の名は一度は聞いたことがあると思う
“すっげーじゃあジスはいずれ院長になるのか？”
ジス:うん。僕は兄弟も従兄弟もいないから血縁者であれば僕しかいないね。
難関の医大に合格した時点で父は期待してくれたと思っている
ただ、どれだけ僕が優秀な成績を残しても
適性が無ければ、僕に大学病院の院長など勤まらない
医大でも話し相手はいたがジョンハンのように何でも話せる相手はいなかった。
きっと彼は笑うかもしれない
相変わらず僕は彼のいない場所では胡散臭い笑みを浮かべて建前を口にする
人に嫌われたくないといって見繕って自分ではない自分を演じる
ジス:―――…はあ。
大学が無い日はなるべく家からも大学からも遠い場所に足を運ぶようにしていた
同じ夢を目指す者しかいない空間はどうしても気疲れしてしまう
なるべく同期に会わないようショッピングやカフェで時間を潰すのが休日の過ごし方だ
街中のカフェでアメリカーノを頼み、奥の席でカタカタとパソコンに課題を入力する。
ここでは追加の注文が無料なので数時間ほど居座れる
自宅でこなせばいいのでは？と言われそうだが、あくまでここにいるのは気分転換だ
画面を見ながら視界の隅にあるカップを口に運ぶと既に空であった
席を立ちオーダー口へ向かうと、何やらオーダー口で女性と男性の店員がトラブルに見舞われている様子が目に入った
“韓国語分からないのか？”
店員側がそう発したのが耳に入り、咄嗟にその女性が外国の女性であることが分かった
以下()英語表記
ジス:…(どうしましたか？)
間に入り女性に英語で声をかけた
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なっちゃん - とても面白くて一気に読んでしまいました！もう続き出す予定はないですか？ (2022年8月17日 9時) (
レス) id: 9b624f6706 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっこちゃん
| 作成日時：2021年5月16日 18時
