episode88 ページ43
いつも通りの1時間の休憩なのに、凄く長く感じる
パスタをくるくると丁寧に巻き口にするジュンとそのジュンを観察するように見る田中さん。
その様子をヒヤヒヤとしながら見る私の何とも言えない図
田中:Aさんそんな目で見なくても取って食ったりしませんよ。
「ははは…」
知っている。銀行員になって初めて話せる相手が、田中さんだ。
彼女が玉の輿を狙ってることも洞察力が凄いことも知っている
そのためジュンに興味があるのは「私の彼氏」だからである
いや違うんですけど。
終始田中さんがジュンや私に向かって質問してくるが、ジュンが答える前に私が答える
外では恋人のように接してほしいとお願いしたものの何も口裏合わせをしていない
だからいつボロが出るかも分からない
特に田中さんが気に留める様子もなくジュンもにこにことしているだけ
二人の様子を伺いながら時間が経つのを待つことしかできない。
田中:Aさん次の職の充てはあるんですか？
『…あて？』
…あ。そっか、さすがにジュンは言葉の意味が分からないか
「まあ…人の数だけ会社があるわけだし。」
あの男からジュンは本当は日本語が堪能だと知らされたが、日本人でも分からない言葉があるのだから
伝わるか伝わらないか分からないぐらいの言葉で田中さんに伝えた
ちらりと見たジュンは分からない表情を浮かべていた為
…なんとなくホッとした
田中:私、お手洗い行ってきますね
持ってきていたポーチを持ってトイレの方に向かった
まだ昼休みが終わるまで時間があるため、先に会計をしておこう
…
「…」
『…今日、ここに来てほしい』
二人きりになった瞬間、空気が変わった気がした
彼女がいた時は自分から口を開かなかったのに
テーブルの上にそっと置かれた名刺を裏返した
…？ホテル…？
「…ジュン、」
それだけ言って行ってしまった
小さなパスタ屋さんにいるにはやっぱり派手な容姿だ
見慣れてしまったあの人間離れした容姿は女性を惹きつけるんだと思う
…女性だけではなかったけど。
田中:あれ？彼氏さん帰りました？
丁度良く彼女が戻ってきたため、会計を済ませた
代金Aさんが払うんですか？と聞かれたがもはや慣れてしまったことで笑みがこぼれた
恐らくヒモとでも思われたか？
……今日の夜、行かなければいけない気がした
第六感を信じ込んでいるわけではないが
行かなければ、もうジュンには会えない気がした
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ジェリー(プロフ) - はじめまして。沢山更新されていたので、久しぶり最初から読み返しました。考えさせられることが沢山あり、泣きそうになりました。更新楽しみに待ってます！ (2021年5月14日 6時) (
レス) id: a4ccdce64b (このIDを非表示/違反報告)
ジンリ(プロフ) - 内容がとっても濃くて、引き込まれて一気読みしてしまいました涙ジュンピと再会、、。みんな幸せになって欲しいです、。更新大変だと思いますが応援してます！！ (2021年5月8日 21時) (レス) id: 2abf938477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっこちゃん
| 作成日時：2021年4月8日 18時
