episode50 ページ5
3ヶ月ぶりに自宅に戻ると、弟がいた
もう何年も会っていなかったのにどうしているんだろう
�猖佑發�兄ちゃんと同じでピアノしてるんだ。”
片手で荷物を持つ僕に対して、弟はそう言った
にこにこと小さな顔いっぱいに笑みを浮かべて嬉しそうな弟。
�犖�せたいものがあるんだ！”
僕の右手を引こうとするも、ハッと気付いてすぐに左手に持ち替えた
6つも離れているまだ9歳の年だというのに気が利いた子だ
人形のような小さな柔らかい手に包まれその手に引かれていく
小さな歩幅で階段を上ると僕の部屋の前に立った
なんとなく、悪い予感がした
どうして何年も親戚の人に預けられていた弟がここにいるのか
その弟がピアノを習っているのか
勘という根拠もない第六感が働く
ガチャッ
僕の部屋は殆ど物を置いてなかった
白の壁にフローリングの床。
勉強机の代わりに置かれた大きなグランドピアノとベッドだけがある
ベッドの上だけが僕が自由な時間だった。
だけどどうだろう
そのベッドはキャラクターものの青いシーツに変わっていた
上にはぬいぐるみが沢山置かれている
勉強机も教科書が並べられて壁にはキャラクターのポスターが貼られている
あのピアノはどこへ行ってしまったのだろう
�爛團▲里魯螢咼鵐阿砲△襪鵑世茵舛�兄ちゃん知らないの？”
部屋に置いてあった筈のあの大きなピアノ
僕の部屋だった場所が弟の部屋に変わっていた
その時、僕は確信した
『…』
ピアノが弾けなくなった僕はいらないんだ
僕の部屋にあったものが跡形もなく無くなっている
この部屋にあったピアノも僕のものではなくなってしまったんだ
ぶらりとぶら下がっているだけのこの手が使えない僕を
母は必要としていなかったんだ
『…ピアノ、頑張ってね。』
�爐�兄ちゃんはもう弾かないの？”
きっと知らないんだと思う
大切なことは切り取られて伝えられている
まだ9歳の弟にはあまりにも重くて息の詰まるような話だから
僕もそうだったから。
ピアノが上手になれば母に褒めてもらえるから
他の何もいらなかった
だけど僕はそれすらも失ってしまったんだ
�燹弔�兄ちゃん？”
初めてだった
その時初めて僕は涙を流した
何も知らない無垢な弟は不思議な顔をして崩れ落ちる僕を見ていた
左手でしか口元を押さえられず漏れる声にさらに涙が襲う
この日、僕は母に捨てられた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 628人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジェリー(プロフ) - はじめまして。沢山更新されていたので、久しぶり最初から読み返しました。考えさせられることが沢山あり、泣きそうになりました。更新楽しみに待ってます！ (2021年5月14日 6時) (
レス) id: a4ccdce64b (このIDを非表示/違反報告)
ジンリ(プロフ) - 内容がとっても濃くて、引き込まれて一気読みしてしまいました涙ジュンピと再会、、。みんな幸せになって欲しいです、。更新大変だと思いますが応援してます！！ (2021年5月8日 21時) (レス) id: 2abf938477 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やっこちゃん
| 作成日時：2021年4月8日 18時
