episode74 ページ29
敷かれたレールを歩いている最中だとしても、ジスはレールのない俺を羨ましく思っていたらしい
医者以外になることを考えたことがなくやりたいことは何もない
夢も恋愛も、普通の学生なら得ることのできるものをジスは許されなかった
大学はもちろん医大に進んだジスととりあえず自分のレベルに合った大学を選んだ俺
医大生は高校の時よりも何倍も忙しいと言っていたがそれでも週に一度は時間を見つけて会っていた
俺は俺で高校の時と変わらずのんびりと大学生活を送っていた
周りに合わせることはあまり得意ではないため、一人でいることは多かったがサークルには一応入っていた
女の子に話しかけられることがあってもどこか煩わしさを感じることがある
サークルの飲みで話すことはあっても二人で会うことはどうも苦手だ
同性愛なんてものを一時期調べたこともあったがそれもどうやら当てはまらない
単に冷めているだけだと思っていた
その頃の俺は髪を意味もなく伸ばして、美容学生の友人のマネキン代わりに奇抜な髪色をしていた
そんな外見をしていたせいか女に間違えられたこともあった。178もあるのに誘うなよ
大学3年の時だったと思う
半年間留学に行っていたジスが戻ってきた直後、突然言われた。
ジス:僕、彼女できたんだ
カフェのテラスでニコニコと言うジスのその発言に耳を疑った
てっきり恋愛は親の決めた相手とするものだとばかり思っていた
そもそもジスが誰かに時間を割いてまで恋愛したいという相手に出会えたことに驚きを隠せない
ジス:面白い子だからジョンハンも今度会ってよ
ジョンハン:どこの病院のお嬢様？
そう冗談を言うと笑みを浮かべて細めていた目を開けた。口元だけは口角を上げたまま笑っている
ジス:日本人だよ。留学で来てるんだよ
初めて出来た彼女が日本人だというこの男。
それに留学中だということ
もうこれ以上の驚きはない、どんな女なのか内心凄く気になった
ジス:Aちゃん凄く韓国語上手なんだよ？だから今度ジョンハンに会わせたくて
正直、その時はよく分からなかった
恋愛にうつつを抜かして他のことがおざなりになる
そんな人間にはなりたくない
そう発言していた男に彼女ができるなんて
だけどジスのその言葉の意味も
彼女を俺に会わせるという行動も
全て、計算だったということを俺は知らなかった
そしてその計算が大きく狂いを見せるということも
誰も知らなかった
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ジェリー(プロフ) - はじめまして。沢山更新されていたので、久しぶり最初から読み返しました。考えさせられることが沢山あり、泣きそうになりました。更新楽しみに待ってます！ (2021年5月14日 6時) (
レス) id: a4ccdce64b (このIDを非表示/違反報告)
ジンリ(プロフ) - 内容がとっても濃くて、引き込まれて一気読みしてしまいました涙ジュンピと再会、、。みんな幸せになって欲しいです、。更新大変だと思いますが応援してます！！ (2021年5月8日 21時) (レス) id: 2abf938477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっこちゃん
| 作成日時：2021年4月8日 18時
