episode70 ページ25
肉の焼ける香ばしい香りが広がる
油が強くはじきパチパチと鉄板に音を鳴らす
さっきまで気にならなかった音は一瞬にして敏感に響く
そろそろ酔いが回ってきたかなと思っていたのに一気にアルコールが身体から抜けたような感覚だ
「……」
途端に黙り込むも、視線を逸らすことはできなかった
ジョンハンはこういう場で冗談を言う人ではないことは知っている
笑い飛ばして返せばいいのか
よく分からなくて私はこうやって目を合わせることしかできない
ジョンハン:肉、焦げてる
ハッと鉄板の方を見ると香ばしい香りどころか焦げた香りが漂っている
周りの店員さんは騒々しそうに料理を聞いて運ぶのに手一杯そう
慌てる私と対照的にジョンハンは冷静に肉をひっくり返す
ジャキジャキ…
焼けた肉を手慣れた手つきで一口サイズに切っていく
この手つきなら店員さんは必要ない。
ジョンハン:焦げたところは俺が食うよ
「いやいや、癌は私が食べるから！」
咄嗟に言った言葉に噴き出すように笑っていた
確か韓国にいた時も私はこんなことを言っていた
思い出し笑いのようにジョンハンは笑って余韻に浸る
「……ジス言ってたんだ。病院で、ジョンハンを紹介したのは私が自分じゃなくてジョンハンを好きになるようにするためだって」
ふーんと興味なさそうに手を進める目の前の彼を横目に
また酔いが回ってきた私はビールを喉に通してはまた話を進めた
「私がジョンハンを選んで自分のことを捨ててくれたら諦めがつくのにって言うんだよ？私に告白して付き合っといてさ…ね〜ほんと。」
本当に身勝手で無責任だ。あの男は。
余裕な笑みを見せておいて全然ギリギリの人生じゃないか
ジョンハン:あながち的外れではなかったんじゃない？
「何でよ」
ジョンハン:俺がお前のこと好きになったから。ジスの企みが的外れなわけではなかったんじゃないかって
黙って私の取り皿に焼けた肉を置いていく彼は確かにそう言った
知らない。初耳だ
私のこと好きだなんて思いもしなかった
「…ふーん」
動揺していない素振りをあからさまに見せても彼は反応しなかった
焼け切った肉を鉄板から全て上げてしまい、ようやくこちらに目を向けた
ジョンハン:気付くわけないよな。お前だし
鼻で笑うと彼は乱雑に箸で口に運ぶ
いつの間にか空になった瓶を揺らし追加で焼酎を注文した
お前だし
私をさすその言葉。
いつから好きだったんだろう
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ジェリー(プロフ) - はじめまして。沢山更新されていたので、久しぶり最初から読み返しました。考えさせられることが沢山あり、泣きそうになりました。更新楽しみに待ってます！ (2021年5月14日 6時) (
レス) id: a4ccdce64b (このIDを非表示/違反報告)
ジンリ(プロフ) - 内容がとっても濃くて、引き込まれて一気読みしてしまいました涙ジュンピと再会、、。みんな幸せになって欲しいです、。更新大変だと思いますが応援してます！！ (2021年5月8日 21時) (レス) id: 2abf938477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっこちゃん
| 作成日時：2021年4月8日 18時
