episode69 ページ24
「…そんなに私って死にそうだった？」
一杯目のグラスを飲み干し、二杯目を注ぐ
久しぶりに会った友人に言う一言が「生きてた」だなんてドラマでも言わない
“元気だった？”
“久しぶり”
そんなありきたりな第一声ではない
その時のジョンハンの表情を覚えている
私の顔を見るなりホッとした顔をしている彼
てっきりもう死んでいるのかと思っていたのか
ジョンハン:死んでるかと思った
出会った頃から変わらない
この人はオブラートという言葉を知らない
思ったことを言うか言わないかの審議をしない。ただ思ったことを言う
だから友達が少ないのだと言っていた
…
店内には耳にしたことのある流行りのポップミュージックが響く
いつからだろう、流行りの曲を聞かなくなったのは
昔なら好き嫌いでなくとも流行の曲は口ずさむぐらいには覚えていた
子供だと思っていた自分が気付けばもう28歳
私ももう28歳かと溜息すら出る
時間は今この瞬間も流れている
頼んだサムギョプサルが届くとジョンハンは焼き始める
私もそれを見ていたが気付いた店員の女の子が慌てて止めた
“店員が焼きますので！すみません！”
店員さんがあまりにオーバーリアクションなので思わず笑ってしまった
正面を見るとジョンハンも笑っており大丈夫ですよ〜と気にかけていた
知ってる。
この人はずっと優しい人だ
ジューッ…
“このまま暫くお待ちください〜”
焼き色がつくまで待つようにと店員さんが席から離れる
鉄板から溢れる煙越しで正面に座るジョンハンが少しだけぼやける
まるで別世界のようだ
28歳になった私とジョンハンが日本でお酒を飲んでいるなんて
ジョンハン:何？
ジッとジョンハンを見ていると彼は鏡のように私と同様に両肘を立て手のひらに顔を乗せた
周りから見ればどう見えているのだろう
酔っぱらった同僚に見えているのか、それとも恋人に見えているのか
「ジョンハンって顔立ちは可愛いんだね〜って」
性格のせいか、愛想が無いからなのかキツイ印象だったが垂れた丸い瞳がどこか愛らしさを感じる
髪型でだいぶ雰囲気が変わったと思ったが顔立ちはそのまま。当たり前か
私が可愛いというと目を細めてビールを口に注ぐ
口角を上げて笑うのだからきっと照れているんだろう
「でも本当日本語上手になったね」
ジョンハン:寝ないで勉強したからな。
「やっぱり日本への転勤って大きいんだ？」
・
ジョンハン:…お前にまた会うためだよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 628人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジェリー(プロフ) - はじめまして。沢山更新されていたので、久しぶり最初から読み返しました。考えさせられることが沢山あり、泣きそうになりました。更新楽しみに待ってます！ (2021年5月14日 6時) (
レス) id: a4ccdce64b (このIDを非表示/違反報告)
ジンリ(プロフ) - 内容がとっても濃くて、引き込まれて一気読みしてしまいました涙ジュンピと再会、、。みんな幸せになって欲しいです、。更新大変だと思いますが応援してます！！ (2021年5月8日 21時) (レス) id: 2abf938477 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やっこちゃん
| 作成日時：2021年4月8日 18時
