episode48 ページ3
"い…おい、おい！しっかりしろ！"
深い眠りから引き摺り出されたのはその叫び声だった
薄らと目を開けると助手席の男の人が運転席の方に呼びかけている
だけど返事が返ってこない
寝ぼけていた僕が異様な光景に気付いたのは次の瞬間だった
運転手の両手が宙ぶらりの状態になっており、ハンドルはガラ空きなのが見えた
何が起こっているのか分からない
香港の街中を走行するこの車はどんどんスピードを上げている
母は顔を真っ青にして僕と顔を合わせて何もできない状態だ
『母さ…』
僕の名前を遮るように
大きな衝突音が耳にこだました
―――――…
『…これ、僕が乗ってた車なんですか？』
意識を取り戻したのは病院に運ばれてから3日経った日のことだった
目が覚めると病室には母親と医者の先生がいた
テレビをつけるとどのチャンネルでも同じニュースが取り上げられていた
僕らが乗っていた白のワゴン車が原形をとどめずぐちゃぐちゃになっている映像が映っている
運転手が脳梗塞を発症してアクセルを踏んだまま180�劼妊�ードレールに突っ込んだそうだ
幸いにも通行人に怪我をした者はいなかったが、運転手と助手席に乗っていたガイドは即死。
運転席の後ろにいた僕と母は車の下敷きになったものの救助されて一命を取り留めたそう
だけど母は僕が目を覚めて涙を流していた
目を覚ましたことに嬉しくて涙を流しているのかと思ったが目線は僕と合わなかった
母が見ていたのは僕の…
�牘ο咾良�から指先にかけて粉砕骨折しています。2〜3ヶ月はギプスを着用して生活しなければなりません。”
先生がそう言うと、僕は母の顔を見た
血の気が引いたような顔で呆然と立っていた
目覚めて5日目ということは当の昔に出席するイベントは終了している
ピアニストとして僕がそのステージに立つことはなかった
『…母さん…』
そう呼んでも母さんは何も反応してくれない
母さんが泣いていたのは僕が目覚めたからではない
ピアニストとして命の手を怪我してしまったからだ。
怪我、そんな可愛いものではない
3ヶ月間手が動かせない
それがピアニストにとってどれほど命とりなものか
『先生…僕、またピアノ弾けますか？』
�爐海海蝋畊舛念貳崑腓�な病院だよ。私はジュンフィくん、君のピアノの実力は何度も拝見したことがある。勿論最善を尽くすよ”
『じゃあ…』
�爐世�…
前のように…演奏することは諦めてくれ。”
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ジェリー(プロフ) - はじめまして。沢山更新されていたので、久しぶり最初から読み返しました。考えさせられることが沢山あり、泣きそうになりました。更新楽しみに待ってます！ (2021年5月14日 6時) (
レス) id: a4ccdce64b (このIDを非表示/違反報告)
ジンリ(プロフ) - 内容がとっても濃くて、引き込まれて一気読みしてしまいました涙ジュンピと再会、、。みんな幸せになって欲しいです、。更新大変だと思いますが応援してます！！ (2021年5月8日 21時) (レス) id: 2abf938477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっこちゃん
| 作成日時：2021年4月8日 18時
