episode61 ページ16
『…』
次に僕が目覚めると男の声が聞こえた
一つ二つと数えられないほどの大きなシャンデリア
天井からぶら下がっていた
重い身体を半ば強引に起こすと知らない部屋にいた
僕一人で十分に余るベッドの上にいた
壁の殆どが窓ガラスになっていて外の景色が全て見下ろす形で見える
…どこ、ここ…。
きょろきょろと周りを見渡していると、ようやく声の主と目が合う
スーツ姿の男がベッドのそばに立ち僕を見下ろしていた
“初めまして。ジュン君だね？”
『…』
“そんなに警戒しなくてもいい。僕は君の味方だよ”
少しだけ浅黒い肌のその人は味方だと言った
だけどその時の僕は人を容易に信用することに恐怖を感じていた
男の人が僕に近寄ると反射的に身体が後ずさんだ
“そんなに信用ならないか…飯食べるか？”
『…いらない』
僕がそう言うと強要はしなかった
また距離を置いて奥にあるキッチンのほうへ行ってしまった
…ホテルみたいなところだ
凄く高そうな部屋だけどどうして僕ここにいるんだっけ
上下白いパジャマを着て、知らない場所で眠っていたのか
……あ。
そうか…あのお姉さんが言ってた300万で売られたんだ、僕
まさか自分がとうとう売られる日が来るとは思わなかった
たった300万で売られ、あの男の人が僕のことを買ったんだ
いくつなんだ？
僕の倍ぐらいの年齢に見える
体格も僕よりしっかりしていて身長も変わらないぐらい
鍛えているのがスーツの上からでもよくわかる
凄く高価な腕時計や指輪を身に着けている
どこかの資産家か社長なのか…
“お前本当に腹減らないのか？そんなでかい体して”
テーブルでワイングラスにワインを注いで堪能していると僕に言ってきた
お腹が空いていないといえば嘘だ
だけど知っている。知らない人から食べ物を貰うとどうなるか。
“俺はあのバカ女みたいに変な薬打ったりしないから。ほら食え”
バカ女とはきっとあのお姉さんのことなんだろう
面倒くさそうな顔をして手招をする
食べてはいけないと分かっていてもお腹が悲鳴を上げる
千鳥足でその人の元へ寄ると目を見開いた
テーブルには何人分かと疑うほどのお寿司が並べてある
『…』
ぐうと鳴り止まないお腹を押さえながら座ることを躊躇う
我慢できずに座り、箸も使わず手でお寿司を口に運んでしまった
『……美味しい。』
“だろ？全部食っていいぞ。”
宮野さん。
それがあの人との出会いだった
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ジェリー(プロフ) - はじめまして。沢山更新されていたので、久しぶり最初から読み返しました。考えさせられることが沢山あり、泣きそうになりました。更新楽しみに待ってます！ (2021年5月14日 6時) (
レス) id: a4ccdce64b (このIDを非表示/違反報告)
ジンリ(プロフ) - 内容がとっても濃くて、引き込まれて一気読みしてしまいました涙ジュンピと再会、、。みんな幸せになって欲しいです、。更新大変だと思いますが応援してます！！ (2021年5月8日 21時) (レス) id: 2abf938477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっこちゃん
| 作成日時：2021年4月8日 18時
