episode57 ページ12
『おばあちゃん〜？』
高校卒業後、僕は逃げるように祖母の家に住み始めた
父方の祖母とはずっと疎遠だったがあの家にいることを限界に思い
一か八か父から連絡を聞き出すと快諾してくれた
ただ凄く時間がかかった
祖母は父とも長い期間会っておらず、もう15年ほど中国に帰っていない
日本の東京の下町で商店を営んで生活していると聞いた時はさすがに驚いた
日本のビザを取って祖母の家で生活することになった
祖母は空港まで僕を迎えに来てくれた
祖母曰く僕と会うのは僕が産まれてすぐ以来で、僕がピアニストとして特集された雑誌やテレビは全て見ていたという
実物の大きくなった僕を見てぼろぼろと涙をこぼしていた
�爛献絅鵐侫�はほんとに綺麗な子だねー”
実質初めましての祖母と僕との生活。
どうなることかと思っていたが、祖母は本当に優しい人だった
弟ぐらいの背の高さでにこにこと顔いっぱいに笑みを浮かべて笑う人
笑うとハート型の口になる姿を見て血の繋がりを感じた
自分の家族にこんなに優しい人がいるとは知らなかった
築何十年も経つアパートの一室
裕福とは言えない生活だったがそれでも僕を受け入れてくれた
『あ、い、う、え、お…』
これまで公演のために海外を訪れたことはあったが日本に来たのは初めてだ。
中国語表記を頼りにしているが日本語で溢れかえって困る
15年この国で生活している祖母は日本人と分からないほどネイティブな日本語を話す
僕も祖母の手伝いと日常生活のために毎日勉強していた
『おばあちゃん僕が持つよ〜』
祖母は75歳と高齢で、近くの病院に週に3回通っている
できるだけ負担をかけないように自分にできることは率先してこなした
だが僕が年寄り扱いするとめちゃくちゃ怒る
あんたよりも動けると言われるが僕もそう思う。
平日は祖母の商店を手伝い、土日は日本語のテレビをずっと見ていた
だから半年もしないうちに日常会話で困らない程度の日本語は話せるようになった
�爛献絅鵐侫�、おばあちゃんはそう簡単には死ねないよ”
『うん。知ってる。』
�爐△鵑燭�素敵な人と出会うまでおばあちゃんはあんたを一人にできないよ”
人はいつ死ぬか分からない
だけどこういう話を生前にするのはどこか恥ずかしいものだ
死ぬ前の最後の会話を後悔しないように祖母はその言葉を僕に残してくれた
�爛献絅鵐侫�、幸せになるんだよ。”
20歳になってすぐの7月
祖母は熱中症で呆気なくこの世を去っていった
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ジェリー(プロフ) - はじめまして。沢山更新されていたので、久しぶり最初から読み返しました。考えさせられることが沢山あり、泣きそうになりました。更新楽しみに待ってます！ (2021年5月14日 6時) (
レス) id: a4ccdce64b (このIDを非表示/違反報告)
ジンリ(プロフ) - 内容がとっても濃くて、引き込まれて一気読みしてしまいました涙ジュンピと再会、、。みんな幸せになって欲しいです、。更新大変だと思いますが応援してます！！ (2021年5月8日 21時) (レス) id: 2abf938477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっこちゃん
| 作成日時：2021年4月8日 18時
