【wrwrd!】呼び出し代行 2【zm】 (ページ8)

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「はぁ…」

思わずため息をついた。

「どないしたん、Aちゃん」

隣を歩くゾム先輩がちらりと私を見やる。

「いえ、ちょっと、教科書をなくしちゃって…」

最近、よく物がなくなる。

初めに消しゴムを無くしてから1週間後。次にペン、さらにノートときて、ついに今日、教科書がなくなってしまった。

「教科書を？珍しいやん、この前も消しゴムなくしてたし」

「多分、どこかに落としたか忘れたかしただけだと思います…すいません、心配させちゃって」

「ぼんやりしとる？残暑もあるし、気ぃつけや」

心配そうな顔をさせてしまった、先輩に心配させたくなくて少しだけ嘘をついてしまったのに。

今朝、私はロッカーの前に紙が落ちていることに気付いた。拾い上げてみると、それは『片桐A』と書かれた数学の小テスト。教科書に挟んでおいたはずのものだった。

まさかと思ってロッカーを開くと、そこにあったはずの数学の教科書はなくなっていた。プリントが落ちているということは、一度は確実にここに持ってきているはず。授業のあと、ロッカーに入れた時点ではきちんと挟まっていたので、その後持ち出した人が落としたことに気付かなかったのではないだろうか。

つまり、誰かが私の教科書を…

嫌がらせだと考えれば、あとは簡単だ。私のことを恨んで、憎んでいる人。今までしてきたことを考えれば、数え切れないほど候補は上がる。

先輩にありのままを伝えれば、心配したり、怒って犯人を探そうとしたりするだろう。でも、こんなことになったのは全て私の行いのせい。そんなことはしてほしくないから、自分でなくしたことにする。

自分勝手なのはよくわかってる、と心の中で呟いて、私はまたため息をついた。