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翌朝、俺はカーテンの隙間から差す光で目を覚ました。
布団から腕だけ出してスマホを掴む。
「まぶし…まだ5時やん」
通りで眠い訳だ、と思いながらも二度寝する気分にはなれず、のそのそと布団を出る。
シャオロンの方を見ると、当然ながらすぅすぅと寝息を立てているのがわかった。
「ちょっと散歩でもしに行くか…」
ぐーっとのびをして、スマホをズボンのポケットに滑り込ませた。シャオロンを起こさないように気を付けながら、カーテンの隙間から外を覗く。
昨日シャオロンと話していたとおり、雪は積もっていた。今も降り続く雪に覆われ、あたりは一面真っ白に染まっている。
まだ早い時間帯であることもあってか人はほとんどおらず、見える範囲には橋の上に立っている人くらいしか___
「……え」
唯一ここから見える人物。傘をさして川を覗き込むその人は女性で、なにをする訳でもなくただそこに立っている。
俺はその人に見覚えがあった。
少し遠いし傘の影響もあるので顔ははっきりとは見えないが、それでも確信を持てる。
見間違うはずがない。
ずっと探していたんだから。
ずっと、会いたかった人なんだから。
たまらずカーテンを閉め、息をゆっくりと吐いた。
信じられないけど、きっと現実だ。
震える手で上着と小さな袋をなんとか掴んで、部屋を飛び出した。
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