【wrwrd!】呼び出し代行 2【zm】 (ページ6)

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「うーん…」

私はロッカーの前で悩んでいた。

古典のノートがない。

昨日の授業の時には確かにあった、板書やメモを書き詰めたノート。今日も授業があるからと、教科書と一緒にロッカーに入れておいたはずなのに。

「おかしい…教科書はあるのにノートだけない」

ロッカーの中身はそんなに多くないし、ましてやノートなんて数冊しか入っていないので、あればすぐに見つかるはずだ。そう思って何度も何度も見直したのに、なぜか見つからない。

この前も消しゴムとペンがなくなったし、一緒に置いていたのにノートだけがなくなるなんて、おかしいんじゃないか。

誰かが、盗んでる？

「…まさかね」

パタンとロッカーを閉じて、教科書だけを持って教室に戻る。

もしかしたら友達が写そうと思って勝手に持っていったのかもしれないし、隣のロッカーの人が間違えて取った可能性もある。机の中も確認していないから、他人を疑うのはまだ早い。多分。

「しっかりしなきゃ」

先輩とベタベタしてばっかりじゃだめだ。

夏休みが終わってからすっかり気が抜けていた自分に喝を入れて席に着くと、ちょうどチャイムが鳴った。

「…はい、じゃあ授業を始めます」

教卓に立ち、黒板に文字を書き始めた先生の背中を見ながら、前回までの授業を必死で思い出す。昨日のことはさすがに覚えてるけど、この単元の初めの方なんて夏休み前にやったから、記憶を遡るのも難しい。

どうしたもんだか、と窓の外を見ると、まだ暑さが残る青空が広がっていた。