【wrwrd!】呼び出し代行 2【zm】 (ページ4)

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図書館につくと、ゾム先輩が座って何かをペラペラめくっていた。

「先輩すみません、遅くなっちゃって」

「あぁAちゃん、ええでええで、あんまり待ってへんし」

私の姿に気付いた先輩がパタンと閉じたそれは、私の好きな作家さんの代表作。

「あ、それ…」

「あー…いつまでも嘘のままやとあかんしな、ちょっとずつ読んでんねん」

照れくさそうに笑う先輩。

最近わかったことだけど、どうやらゾム先輩は活字そのものが大の苦手らしい。好きだと言っていたのは、私と少しでも仲良くなりたくてつい言ってしまった嘘なんだそうで。

知らされた時はすごく驚いたし、先輩も何度も謝っていたけど、先輩の好きなところなんてそれ以外にもっとたくさんあるのでもちろん許した。

「さ、やろか」

「はい」

先輩の隣に座って教材を広げる。私が数学の問題を解き始めた横で、先輩は英語の教科書を開いた。

.

「…あ、まちがえた」

黙々と解き始めて5分ほど経っただろうか、私は数式を書き間違えてしまった。
消しゴム消しゴム、と筆箱の中を探る。

「あれ…」

「ん、どないしたん？」

教科書とにらめっこしていたゾム先輩がこっちを向いた。

「消しゴムが見つからなくて…さっき筆箱落としちゃったので、拾い忘れたのかもしれません」

「そっか、ほんなら俺の使う？」

差し出された消しゴムを受け取って使わせてもらう。

明日、ちゃんと探さなくちゃいけないなあ。