お金を使わない凄腕メカニックの話 (ページ6)

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おっちょこちょいな紫の子ページ6

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『いらっしゃい。トワ』

「おひさ〜！ごめんね壊しちゃって……」

所々擦られていたり、ライトが割れていたり。見ただけの推測だが、これはエンジンも逝ってそうだ。

『バイクって使ってなんぼだから。そんな気にしないで、すぐ直すから』

「ごめん〜………」

『じゃあ直すからね、あっちにお菓子あるから食べてていいよ』

トワは少し申し訳なさそうに行った。使ってくれてむしろ嬉しいから、別に謝らなくていい。バイクも喜んでいるはずだ。

作業しているうちに、休憩時間が終わったようで。

ら「お邪魔しましたー、とろさんひなーの、帰るよー」

と「あ、はーい！お邪魔しました！れんさん！」

ひ「え〜もっと居たいけど迷惑だよね〜。夜来てもいーい？」

れ「うんもちろん。みんなも来ていいからねー」

大歓喜していた。それほど仕事したくないということなのだろうか。

壊れてる箇所を直した。他にも年季が入っている部品を交換し、車体はそのままだが中身は別物の新品同様のバイクの完成だ。

『トワ、出来たよ。塗装とかサービスするよ、どうする？』

ト「え、ほんとー！？じゃあ塗装お願いするー！」

『色見本持ってくる。ちょっと待ってね』

見本を持って、戻るとトワが不思議そうにバイクを覗き込んでいた。頭の上にはてなマークがあるような気がする。

『どしたのトワ、気になる？』

ト「びっ……くりしたぁ！」

夢中になりすぎていたみたいで、ちょっと怒られる。ごめん、と言えば許してくれた。

ト「さっきまであんなにボコボコだったのに、直るのすごいなーって。メカニックってかっこいいね」

『ボコボコにはなってたけど、直るのが早いのはトワのおかげ。トワが大切に思って使ってたからだよ』

ト「ふーん」

横目でこちらを見つつも、見本に目を移すトワ。やがて目的の色が見つかったようで、目を見開いた。

ト「よーさん、トワこれにする！」

ニコニコ笑顔で見せられたのはライラック色。藤色よりも紫帯びており、薄い色だ。

『わかった。じゃあもう少し待ってね』

「はーい！」

塗装すると、それはそれはトワらしいバイクの完成だ。

「えー！！かわよっ！ありがとよーさん！！」

『はーい。またおいで』

「うん！また来るわ！」

バイクに乗り、トワはるんるんでガレージから出た。