お金を使わない凄腕メカニックの話 (ページ11)

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あげるよ。ページ11

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かなり前からメカニックでお世話になっていたノリアキさんが、kanu'sに来た。

おもてなしをして、しばらく話していると、ノリアキさんが突然言い出したのだ。

「なんか、南の空港の方に良さそうなガレージあるらしい、行ってみない？」

「行く行くー、確か予定ないよね？」

『ないよ。今日は』

「じゃあガレージ閉めてくるよ」

kanu'sのガレージが閉まっているということは今日は営業していないという意味だ。

れんがガレージを閉めに行って、ボクとノリアキさんだけになった。正直気まずい。基本れんとノリアキさんが話してて、ボクは聞いてるだけ、時々話す程度。

気まずいし陰キャだし口を開けずにいると、ノリアキさんから話してくれた。

「どう？最近。kanu'sってこの街1番の人気店だから、忙しそうじゃない？」

『ぼちぼちですかね、お客の笑顔見てると自分も笑顔になりますし』

「分かるよ、頑張って良かったぁってなるよね」

メカニックにしか分からないメカニック雑談しているとれんが戻ってきた。

ボクとれんは先日カスタムしたれんのスーパーカーに乗り、ノリアキさんに着いていく形となった。

テーブルの上に置いていたキャンディーを口に加えて、ガレージを出た。

「どんなガレージなんだろうね」

『今のガレージも結構いいんだけど見に行ったガレージも良かったら引越しもありじゃない？』

「全然アリ。その場合トラックとか借りないとガレージの中身全部持ってこれないよ？」

『それ大変だなー、やっぱやめる？』

「なんでなんで、めんどいだけでしょぉ」

そんなことを話していたら空港に近いところについた。海沿いで、ちょっぴり海の匂いがする。一際大きなが建物の中にノリアキさんが入っていった。

「ここだよ、ここ。所有者がいなかったから俺所有権取って使ってるんだよね」

『うわ、すご〜』

「え2階ある、すごい」

今のガレージとは比べ物にならないほど広い。正直こっちもいいなぁなんて思い始めていた。

「どう？」

なんてノリアキさんが言った。まるでここを使わせてくれるみたいな……

「めっちゃ綺麗、ねぇA〜」

『すっげ〜綺麗』

「ああ、気に入った？じゃああげるよココ」

ピシャーンとまるで雷が鳴ったかのような衝撃が走った。あげるよココ。とは。