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『Aー!!忘れ物だぞー』
校門を出るところで背後から声をかけられ振り返ると、両手を頭上でブンブン振り、元気オーラを撒き散らす笑顔。その手にはAの携帯。
A「あっ!有岡先生ー!ごめーん」
繋がれた手を解き、先生の元に走る彼女。
気に入らないんだよねー。
本に興味も無さそうなのに図書委員の担当なんかしちゃってさ。
僕のAを気安く名前で呼ばないでもらいたいよ。
携帯を受け取った彼女はニコニコと会話してると思ったら先生が何かを言うと顔を赤らめて俯く。
2人が何を話してるか聞こえないのがもどかしい。
さっきまでぷりぷりしてたくせに先生にあんな顔しちゃって。
「やだもー本当有岡先生!じゃあバイバイっ」
顔を赤くしたままこちらに戻ってくる彼女の背後で
『じゃーなー!気をつけろよー!知念もまた明日なー!!』
とバカみたいにデカイ声。
うるさいよ本当。
そんな叫ばなくても聞こえるよ。
ぺこりと先生に頭を下げると戻ってきた彼女をジーっと見つめる。
A「侑李?」
僕の黒いオーラを感じたのか怪訝そうに首を傾ける彼女。
「いくよ」
そのまま歩き出す僕を追いかけてくる彼女がポツリ。
A「怒ってる…の?」
歩みを止めクルリと彼女の方を向く。
「僕以外の男といちゃいちゃしたお仕置き」
彼女に一瞬のキスをする。
A「へっ!?」
突然のキスに動揺した彼女はパチパチと瞬きしながら変な声を出す。
そして何かに気づいた様に
A「あっ!有岡先生?!」
とまたあの年中お祭り男のような男の名前を。
「他の男に顔なんて赤くしちゃってさ。
バカじゃないの?図書室でしょ?携帯忘れたの。有岡先生が勝手に開いてAのアドレス盗んだらどうするのさ。気をつけてよね。」
一気にまくし立てた僕の言葉を数秒かけて理解した後、黙っていた彼女が笑いだす。
A「侑李…ふふっ…」
「今笑うとこじゃないんだけど。もういいよ。」
再び踵を返して歩き出した僕の腕を慌てて引っ張って
A「ごめん!つい嬉しくて!」
と意味不明な事を言う彼女。
「嬉しい?え?やっぱりバカなの?僕おこってるんだけど。」
A「ヤキモチ…でしょ?」
下唇をかみながら笑いを堪える彼女にやっぱりちょっと腹が立って掴まれた腕を解く。
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yurinchi.(プロフ) - コメントありがとうございます。色んな世界感を書きたかったので裕翔くんや伊野尾くんはあえてあぁいう形で書かせていただきました。また短編を書く機会があったら会話のある2人もかけたらなと思います。 (2017年1月18日 13時) (レス) id: d450a284c4 (このIDを非表示/違反報告)
速水よる。(プロフ) - 裕翔くんや慧くんなど、1話だけで終わらせないで夢主さんとの会話とかももう少し入れた方がいいと思いますよ(*´∇`) (2017年1月18日 9時) (レス) id: 36fb1ce31c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yurinchi | 作成日時:2016年12月26日 6時