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「よっ」

突然、家を訪ねてきた桃色の髪の男。

庭に顔を覗かせて、男は首を傾げる。

その男が青色の瞳をしていることに気づいて、るぅとは目を丸くした。

「あれ、ころんいねえの?」
「……ころんさんは家の中です」
「あぁ、そうなんだ。ありがとよ」

男は家に近寄り、「ころーん」と叫んでいる。

「そんな叫ばなくても聞こえるってば。なあに、さとみくん」

迷惑そうに窓から顔を出したころん。

さとみは窓に近寄って、物珍しそうにるぅとを見た。

「いや、この間莉犬から話を聞いたからさ。この子が噂の王弟様?」
「え、莉犬くんがさとみくんに話したの?」

目を丸くしたころんを見て、はは、と笑ったさとみ。

「突然ころんの家に行ってびっくりしないように、だってよ。あいつも俺のことわかってきたよな」

ふーん、とつまらなさそうな顔をしたころん。

「僕も庭に行くから、るぅとくんと話でもしてちょっと待ってて」

それだけ言い残して、ころんの顔が消える。

取り残されたさとみは庭を振り返った。

どこか警戒した様子で、じっとさとみを見ているるぅと。

「どうも。プラタノ語はわかるみたいだね。さとみです」

そう、プラタノ語で話しかけてみる。

先ほどころんを探していたときもプラタノ語で話していたが、るぅとはきちんと理解していた。

「……るぅとです。プラタノ語はわかります」

警戒はしているが、返事はくれる。

「やっぱりすげえな。ころんと会ったときも思ったけど、二か国語話せるのは当たり前の世界なんだな」
「そりゃ、外交のときに話せなきゃ困るからね」

玄関から姿を見せたころん。

ころんもプラタノ語を話している。

王族や貴族ならば、近隣諸国の言葉は話せて当然なのだ。

戸惑った様子のるぅとを見て、ころんは肩をすくめた。

「この人はさとみくん。プラタノ皇国の人だけど、元はスローンの人。スローンって知ってる?」
「知ってます。プラタノ皇国の北にある国ですよね。スローン共和国」

へえ、と顎を触ったさとみ。

「知ってるんだね。あんな小さい場所のこと」
「はい。僕の侍女はスローン共和国の出身でした」

さとみはどこか複雑そうな顔になる。

「スローン共和国って言うけどさ……ちょっと情報が古いね。もうスローン共和国ってなくなったんだよ。プラタノ皇国に吸収されて、今はスローンって地名が残ってるだけ」

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翠霞チサ(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます、とても嬉しいです! (2023年2月15日 3時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 本当に好きです、何回読んでも飽きません (2023年2月14日 22時) (レス) id: 0464914362 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - ナナシさん» わああああ!!ありがとうございます!!! (2021年10月4日 21時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - 緋桜ひよ子さん» え、本当ですか!私としてはもちろん大丈夫ですが、本人様たちには迷惑がかからないようにお願いします…! (2021年10月4日 21時) (レス) id: 1f91d52096 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - あ…あの!こちらの作品のファンアートを描かせて頂けませんか…!?あまりにも素敵な作品なので・・・・・。ダメであれば大丈夫ですので…! (2021年10月4日 20時) (レス) @page44 id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年9月22日 2時

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