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莉犬が帰ったあとのころんは大変だった。
ベッドの上で目を覚ましたるぅとは、かなり混乱していたらしい。
ころんの姿を見つけると、警戒して部屋の壁に背中をぺたりとつけた。
「ここはどこですか」
「僕の家」
「そうじゃなくて。この場所はどこですか」
ふーん、と頬杖をついたころん。
「ヴァルト。知ってる？」
「ヴァルト？ ヴァルトって……プラタノ皇国ですか？」
「あ、知ってるじゃん」
僕は本当に、プラタノ皇国に……？ と辺りを見回しているるぅと。
周囲を確認したって、ここはころんの家の中だ。
「何があったの」
「はい？」
「森の中で倒れてるのを見つけた。いったい何があったの」
ころんの言葉に、目をパチクリさせたるぅと。
その言葉とこの状況を合わせて考えて、やっと理解したらしい。
「え、あ……つまり、あなたは僕を助けてくれたってことですか？」
「他に何があるの」
呆れたころん。
状況が理解できていなかったのか。
「えっと、助けていただいてありがとうございます」
「そうじゃなくて。僕は何があったのって聞いてるの。何もなかったら森の中で倒れてないでしょ。そんないい身分の人が」
「え」
目を丸くしたるぅとを見て、ころんはため息をつく。
「服を見ればわかるよ。そんないい生地の服、平民が買えるようなものじゃない。あと、その髪と目の色。誰でもわかるって」
起きて分かったるぅとの瞳の色。
髪色と同じ黄色の瞳だった。
ジェルの瞳の色は緑色であるらしいことを考えると、王族の血が濃いというのは本当のようだ。
るぅとの母である正妃は、前王の従姉妹にあたる公爵家の娘だった。
ジェルの母である側妃は、伯爵家の娘。
血の濃さがまるで違うのだ。
「フレッサ王国の王族が、一人で森の中に倒れてた理由は？ 僕はそれを知りたいって言ってるの」
るぅとの目に戸惑いの色が浮かんだ。
「あなたは、僕がるぅとだってことを知ってて助けてくださったんですか？」
「そうだよ」
「どうしてですか？」
はあ、とまたため息をついたころん。
「あのね、僕が聞いてるの。先に僕の質問に答えてくれる？」
「ごめんなさい」
素直に謝る王族など珍しい。
へえ、ところんは感心した。
しかし続いた言葉に、またころんはため息をつく。
「でも、他の国の方に事情をお教えするわけにもいかないんです」
「……わかった、バカなんだな」
目を丸くしたるぅと。
おそらく、面と向かって初めてバカと言われたのだろう。
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翠霞チサ(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます、とても嬉しいです！ (2023年2月15日 3時) (
レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 本当に好きです、何回読んでも飽きません (2023年2月14日 22時) (レス) id: 0464914362 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - ナナシさん» わああああ！！ありがとうございます！！！ (2021年10月4日 21時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - 緋桜ひよ子さん» え、本当ですか！私としてはもちろん大丈夫ですが、本人様たちには迷惑がかからないようにお願いします…！ (2021年10月4日 21時) (レス) id: 1f91d52096 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - あ…あの！こちらの作品のファンアートを描かせて頂けませんか…！？あまりにも素敵な作品なので･････。ダメであれば大丈夫ですので…！ (2021年10月4日 20時) (レス) @page44 id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナシ
| 作成日時：2021年9月22日 2時
