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34. ページ36

にしても、と莉犬は自分の杖を手に取る。

「ころちゃんの杖が暴発するなんて珍しいね。あんまり聞いたことないけど」

ころんは自分の杖を見て、うーんと唸った。

「そうなんだよね、僕の杖はあまり暴発しないはずなのに。だからるぅとくんにも貸したんだけど」

るぅとは不思議そうに首を傾げる。

それに気づいた莉犬は、苦笑いしながらるぅとに説明した。

「暴発しやすい杖ってのがあるの。作りが雑だったり、魔力耐性が低かったり、本当に相性が悪かったりね。俺が昔使ってた杖は暴発しやすくて、ころちゃんが使ったら杖が折れたんだよね」

あ、と気まずそうな顔になったころん。

「その節は誠に申し訳ございませんでした」
「いや、いいんだよ。あのときは俺もあんまりいい杖使ってなかったし」

学園に通っていた頃の話だ。

学園の一年生の頃に、ころんが莉犬の杖を借りて魔法を使ったことがあった。

そのときの魔法は召喚魔法だったが、呼び出す以前に莉犬の杖の方が折れてしまったのだ。

二人の元の魔力量が違っていたのもあり、莉犬の杖の魔力耐性がそこまでなかったために、ころんの魔法に杖が耐えられなかったのだ。

さすがにころんも平謝りをし、一時期二人はころんの杖を共同で使っていた。

そんな経験があるからこそ分かる。

ころんの杖はかなりいい杖なのだ。

杖が原因での魔法の暴発は、ころんの杖に限っては見たことがない。

「ころちゃんの杖でも暴発したって聞いたから、俺結構いい杖探してきたんだよ」
「やっぱりそうだよね? 普通の杖の値段じゃなかったし、使い心地もなんか違ったし」

反応が鈍いと言いながらも、ころんは杖がいいものであることは気づいていたらしい。

莉犬は肩をすくめる。

「ころちゃんの杖でもダメって、相当るぅとくんの魔力量が多いか、死ぬほど杖の相性が悪かったかのどっちかだからね。普通の杖じゃ同じことになるでしょ」
「まあね?」

ころんはまた自分の杖を眺める。

この杖も長く使っているものだ。

「たぶん杖の相性が死ぬほど悪かったんだと思う。魔力量が原因で暴発したなら、僕の杖もダメになってたはずだし」

僕が使ったら普通なんだよ、ところんはシャボン玉のような泡を浮かせた。

そのままふわふわと泡は空中に浮いている。

「出た、ころちゃんが得意なやつ」
「何その言い方。莉犬くんだって得意な魔法くらいあるでしょ」

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翠霞チサ(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます、とても嬉しいです! (2023年2月15日 3時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 本当に好きです、何回読んでも飽きません (2023年2月14日 22時) (レス) id: 0464914362 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - ナナシさん» わああああ!!ありがとうございます!!! (2021年10月4日 21時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - 緋桜ひよ子さん» え、本当ですか!私としてはもちろん大丈夫ですが、本人様たちには迷惑がかからないようにお願いします…! (2021年10月4日 21時) (レス) id: 1f91d52096 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - あ…あの!こちらの作品のファンアートを描かせて頂けませんか…!?あまりにも素敵な作品なので・・・・・。ダメであれば大丈夫ですので…! (2021年10月4日 20時) (レス) @page44 id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年9月22日 2時

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