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「あんな小さな罪で一族処刑だなんて、されたのはころちゃんの家だけだよ。ただの見せしめ。サルトゥス公爵家に逆らったらどうなるのかって、他の貴族たちに知らしめるためだけに利用されたんだよ」
まあ、と肩をすくめた莉犬。
「ころちゃんが生きてて良かった。本当なら、ころちゃんもあのときに殺されてたはずだから」
一族処刑となったはずなのに、なぜシーミア家のころんが生きているのか。
それは、運が良かったとしかいいようがない。
処刑される前日にころんが精霊士であることが判明したからだ。
魔法使いは多くいるが、精霊士というのはかなり少ない。
また、精霊士は精霊の加護を受けているため、精霊士を殺した国は精霊から呪われるという言い伝えがあったのだ。
だから、ころんは処刑を免れた。
ただ、それでも爵位を剥奪され家を取り潰されていたころんは、平民として隣国に逃げ出すしかなかったのだ。
「それでも、僕だけ生きてたって。他の家族はみんな殺された。従兄弟たちもみんなだよ。僕の血縁者はもう誰もいない」
はは、と力なく笑ったころん。
「それだけ多くの人の命を奪って、他の勢力を削って、反対する貴族はいない状態で国を一つにして建て直すだなんて言われても、そんなの当たり前じゃん。反発したらみんな殺されるんだから」
フレッサ王国では、それほど残酷なことが行われた。
黙ってベッドで寝ている子どもを見た二人。
ここにいるのは、その内乱の火種となり当事者となった、第二王子だったるぅとだ。
内乱は三年に渡って続いたため、当時は七歳だったるぅとも十歳になっているはずだ。
「王弟様も、望んで争いに巻き込まれたわけじゃないからね。幼かったし、何が起こってるのかもわかってなかったかもしれないよ」
ぽつり、と呟いた莉犬。
「正妃様も殺されたし。宮殿に残ってるのは側妃様と宰相様、あと王様でしょ? そんな中、王弟様も宮殿で暮らすのは不可能だよ。王弟様の後ろ盾になる人はいないし、両親もいないんだから」
ころんは黙ってるぅとを見る。
「王弟様がプラタノ皇国に亡命してきたとしてもおかしくはないんだよ。そのまま国内に残ってたら殺されるかもしれないしね。でも、さすがに保護はしてくれないだろうなあ」
「……決めた」
「へっ?」
立ち上がったころんを見て、莉犬は目を丸くする。
「僕、第二王子様を保護する。このままここで面倒見る」
瞬きをした莉犬。
「本気?」
「うん」
「え、えぇ……」
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翠霞チサ(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます、とても嬉しいです! (2023年2月15日 3時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 本当に好きです、何回読んでも飽きません (2023年2月14日 22時) (レス) id: 0464914362 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - ナナシさん» わああああ!!ありがとうございます!!! (2021年10月4日 21時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - 緋桜ひよ子さん» え、本当ですか!私としてはもちろん大丈夫ですが、本人様たちには迷惑がかからないようにお願いします…! (2021年10月4日 21時) (レス) id: 1f91d52096 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - あ…あの!こちらの作品のファンアートを描かせて頂けませんか…!?あまりにも素敵な作品なので・・・・・。ダメであれば大丈夫ですので…! (2021年10月4日 20時) (レス) @page44 id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年9月22日 2時