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22. ページ24

え、と目を丸くした女性を見て、ころんはかまどの中に手を入れる。

ふわり、と空気が動く気配がした。

「これでどうかな」

ころんはほい、と近くにあった藁を投げ入れる。

藁に杖を向けると、かまどに火がついた。

しばらく火を見守るが、消える様子はない。

「ね、直ったんじゃない?」
「本当だ、ありがとうころんくん」

ころんはあはは、と笑う。

「手間かけてごめんねぇ」
「いや、いいけどさ。僕の手間賃は結構高いよ?」
「またまた、そう言って安くしてくれるのがころんくんじゃない」

ありがとうね、と女性がころんにお金を払うのを、るぅとは黙って見ていた。

家を出たあと、るぅとは物言いたげな顔でころんを見上げる。

さっき、ころんが使った魔法は。

「……いや、言いたいことあっても今は我慢してよ。るぅとくんのプラタノ語は訛りがないからバレるって」

ころんはバツが悪そうに頭を掻く。

やはり、ころんも分かっていてやっているのか。

「今は莉犬くんが回りきれなかったところを回ってるだけ。本来は僕の仕事じゃないんだよ」

次はこっち、とまたころんは歩き出す。

そのまま何軒か家を回ったあとに、やっところんは貧民街を抜けた。

フードをとったころんを見て、すぐにるぅともフードをとる。

もう話してもいいだろう、と判断したるぅとはころんにフレッサ語で食ってかかる。

「いったい、何をやってるんですか?」
「何って、仕事だよ」
「仕事って……」

しー、とるぅとを黙らせたころん。

「僕もまともに仕事をしてたら生きていけないから。わかる?」
「それでも」

学園には通っていないが、るぅともある程度の魔法なら使うことができるし理解している。

ころんが使っていた魔法は、直す魔法ではなく時間が経つと壊れるようにする魔法だ。

それを、魔法の火で気づかれないようにしている。

魔法の火はなかなか消えないし、消えたように見えて実は消えていなかったりする。

その魔法の火が時間が経って消えたときに、魔法が作動して壊れるようになっているのだ。

そのことに、るぅとは一軒目で気づいた。

他に回った家でも、ころんは似たようなことをしてお金をもらっている。

ころんが使った魔法は高度だったため、普通の平民が気づくことはおそらくない。

だからこそ、余計にタチが悪い魔法だ。

「あの莉犬って人もこんなことやってるんですか?」
「うーん……まあね。そんな感じかな」

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翠霞チサ(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます、とても嬉しいです! (2023年2月15日 3時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 本当に好きです、何回読んでも飽きません (2023年2月14日 22時) (レス) id: 0464914362 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - ナナシさん» わああああ!!ありがとうございます!!! (2021年10月4日 21時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - 緋桜ひよ子さん» え、本当ですか!私としてはもちろん大丈夫ですが、本人様たちには迷惑がかからないようにお願いします…! (2021年10月4日 21時) (レス) id: 1f91d52096 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - あ…あの!こちらの作品のファンアートを描かせて頂けませんか…!?あまりにも素敵な作品なので・・・・・。ダメであれば大丈夫ですので…! (2021年10月4日 20時) (レス) @page44 id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年9月22日 2時

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