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黙ってころんを見つめた莉犬。
「内乱を収めた宰相? 幼い王様を擁護する権威の一つ? 国を建て直す凄腕の人物? ふざけんなよ、そもそも内乱になって国をめちゃくちゃにしたのは宰相じゃねえか」
ことの発端は、前国王が王太子を決めずに若くして急死したことにある。
側妃の子どもである第一王子ジェルと、正妃の子どもである第二王子るぅと。
前国王が亡くなったのは、ジェルが十一歳、るぅとが七歳のときだった。
フレッサ王国の王族というのは、金髪に近い髪色をしているものだ。
第一王子のジェルの髪色は橙色であり、第二王子のるぅとは黄色。
まだ成長途中であることを考えても、王族の血が濃いのはるぅとだと考えられていた。
そうでなくてもるぅとは正妃の子どもであり、前国王がるぅとのことを気に入っていたのは臣下たちも皆知っていた。
王太子は決まっていなくとも、るぅとが王太子になり国王になると皆が思っていたのだ。
それがひっくり返ったのは、宰相がジェルを擁護したからである。
ジェルは確かに頭のいい王子だった。
学習意欲はるぅとよりもかなり高く、さまざまなことを知っていた。
第一王子ではあるものの、王にはなれないであろうことも、ジェルは分かっていたのだ。
それがすべてひっくり返ってしまったのだから、国が混乱状態に陥るのも無理はない。
宰相を出しているサルトゥス公爵家も、元はと言えば王族。
宰相はかなりの権威を持っているのだ。
「内乱がなければ、莉犬くんがいたスキロス伯爵家が没落することもなかった。それに、僕の家だって」
はあ、とため息をついた莉犬。
「……まあ、ころちゃんの家は第二王子派だって明言してたからね。侯爵家だったし、宰相様からしたら目障りだったんだとは思うけど。あれは酷かったね」
フレッサ王国は、内乱の中で多くの貴族が没落していった。
主に第二王子派だった家が基本だが、中立派も前国王派だった家もどこも没落した。
今も残っている貴族は、第一王子派の家か運良く生き残った小さな貴族家だけだ。
有力貴族たちは皆潰された。
ころんがいたのは、第二王子派に属するシーミア侯爵家だった。
侯爵の中でも家格が上であったため、サルトゥス公爵家とも交流を持つことができ、現在の宰相ともころんは関わりがあったのだ。
ただ、結局それが仇となった。
シーミア侯爵家は、罪を被せられ爵位剥奪、一族処刑にまでなったのだ。
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翠霞チサ(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます、とても嬉しいです! (2023年2月15日 3時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 本当に好きです、何回読んでも飽きません (2023年2月14日 22時) (レス) id: 0464914362 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - ナナシさん» わああああ!!ありがとうございます!!! (2021年10月4日 21時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - 緋桜ひよ子さん» え、本当ですか!私としてはもちろん大丈夫ですが、本人様たちには迷惑がかからないようにお願いします…! (2021年10月4日 21時) (レス) id: 1f91d52096 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - あ…あの!こちらの作品のファンアートを描かせて頂けませんか…!?あまりにも素敵な作品なので・・・・・。ダメであれば大丈夫ですので…! (2021年10月4日 20時) (レス) @page44 id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年9月22日 2時