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17. ページ19

「ちゃんと染まった?」
「うん、染まってるよ。ちゃんと紫色」

頷いた莉犬。

「よかった。僕はもうちょっと街にいるよ」

また紫色に髪を染め直したころん。

どこから見ても、元が青い髪だとは気づかない。

莉犬の隣に立って、るぅともころんの髪色を見ている。

思えば、るぅとにとっても紫色には苦い思い出があるのではないだろうか。

「わかった。頼んだ仕事もよろしくね?」
「あぁ、うん。もちろん」

絶対に忘れないでよ、と念を押してくる莉犬。

髪色の問題でどうしても長い時間街にいることができないころんは、仕事のすべてを莉犬経由で受けている。

こうすれば、変な依頼はあらかじめ莉犬が断ったり弾いてくれるから楽、という理由もあるのだ。

「じゃ、るぅとくん。行こっか」

そう言って手を出すと、るぅとはそっと手を握った。

「行ってらっしゃい。次家に来るときはちゃんと連絡してよ」
「わかった。ごめんね」

莉犬は二人に手を振ると、家の中を振り返る。

「さとみはさっさと出ていけ!」
「う……怒鳴んなよ、頭に響くわ……二日酔いなんだって」
「だから飲むなって言ったんだろうが」

頭を抱えて椅子に座るさとみ。

案の定、だ。

ころんは苦笑いしてから、莉犬の家を出た。

「るぅとくんはプラタノ皇国に来たことあった?」
「いえ……兄上はあったみたいですけど、僕はないです」

そっか、ところんは通りを見回す。

大通りからは一本外れているものの、この通りも人の往来は多い。

莉犬もいい場所の家に住んでいるものだ。

「プラタノ皇国は外国人に優しいからね。貿易を多くやってるから、外国人が街にいるのがおかしくないんだってさ」

プラタノ皇国の人だと見て分かる人もいるが、圧倒的に外国の人が多い。

特に今は、フレッサ王国から逃れてきた難民を多く保護しているため、フレッサ王国の人が多い。

ころんと莉犬も、難民の一人だ。

「面白い街ですね」
「るぅとくんもそう思う?」

この街から歩いて二日ほどの距離にある別の町は、港になっているそうだ。

馬車なら一日もせずに着くこの街では、海産物も市場に出回っている。

ヴァルトの森もあるため、さまざまな食材が揃う街だ。

「ころんさんは、来たことがあったんですか?」

ころんを見上げたるぅと。

「あったよ。学園に通ってたときね」

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翠霞チサ(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます、とても嬉しいです! (2023年2月15日 3時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 本当に好きです、何回読んでも飽きません (2023年2月14日 22時) (レス) id: 0464914362 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - ナナシさん» わああああ!!ありがとうございます!!! (2021年10月4日 21時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - 緋桜ひよ子さん» え、本当ですか!私としてはもちろん大丈夫ですが、本人様たちには迷惑がかからないようにお願いします…! (2021年10月4日 21時) (レス) id: 1f91d52096 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - あ…あの!こちらの作品のファンアートを描かせて頂けませんか…!?あまりにも素敵な作品なので・・・・・。ダメであれば大丈夫ですので…! (2021年10月4日 20時) (レス) @page44 id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年9月22日 2時

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